BOOK
□No.14
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昔から、気になった事は自らこの目で確認し、そしてこの手で試さなけりゃ気が済まなかった。
だから今回も…
「フフッ…楽しくなりそうだ」
“実験”を始めよう。
“スー…”
まずは手始めに、メスで女の右腕を軽くなぞる。
薄皮が剥ける程度ならば、俺自身には何の影響も無かった。
今度は少し力を強め肌を滑らせる。
“プスッ…”
女の肌をメスで貫いたその瞬間、俺の右腕からプクリと玉状の鮮血が溢れ出た。
“グググッ…”
メスは悠々と女の腕に埋まっていく。
“ポタ、ポタポタ、ポタ…”
しかしそれと比例し、俺の右腕からは更に血が溢れ…突如として現れたその傷は、見る見るうちに広がっていった。
逆に直接メスを当てられていた筈の女の肌は、メスを引き抜いた後も綺麗なままだ。
端から見りゃあ…何もされてねぇ筈の腕が勝手に傷付き、それがどんどん広がっていくんだ。頭の足りねぇ野郎は困惑するしかねぇだろう。
「成る程な…」
あの潰れた海軍の奴等の死因がバラバラだったのは、これが原因か。
一つ謎が解明出来た所で、今度はゴムチューブを取りだし、女の右手首へと軽く巻き付ける。
“グググ、グッ”
少しずつ、慎重に巻き付ける力をを強めていく。すると、段々と俺自身に締め付けられるその感覚が来るのかと思えば…
「ッ?!」
それはいきなり来た。
「チッ…」
違和感から徐々に…じゃねぇ。
初めから不快感を覚える程の強い締め付けを感じ、女からバッとチューブを取り外す。
「………」
眉間に深い皺を刻む俺の右手首には、くっきりと鬱血痕が残っていた。
「成る程な」
つまりこの女が返すのは“痛み”の感覚となる訳だ。
だとするならばもしかすると…
「…ROOM」
物は試しだ。さぁ…どうなるか。