BOOK
□No.16
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船内を粗方案内してもらい、今は白熊改め…可愛いベポと一緒に洗濯中。
“ゴシゴシゴシッ”
やっぱり少し時間が経ってしまったシーツの汚れは、なかなか落ちてくれない…
「おッ!!何だお前、もう動けんの?」
2人で悪戦苦闘してる中、大丈夫なのか?なんて声を掛けられ振り返ると、あの時のキャスケット君が大量の洗濯物を抱えた姿で現れた。
『おー、久しぶりだねキャスケット君』
そう挨拶をすれば、だから俺はキャスケット君じゃねーよ!!なんて突っ込んで彼はプリプリ。別良いじゃん、名前知らねんだし…
「ってかお前、またそんなに血流したのかよ?!せっかく船長に治してもらったのに、意味ねーじゃん!!」
未だ薄くシーツに残っている血の痕を見るや否や、凄い剣幕でそう怒るキャスケット君。
だから、これは海獣の血!!と頬を膨らませて昨日の出来事を説明。いや本当酷い目に合ったんだから私!!
「ベポ…」
そして事の顛末を聞いたキャスケット君に、お前アレを人に飲ませんの、いい加減止めろよ…そう言われた本人は激しくズドーンと落ち込んでいた。
「本当すいません…」
こっちが引く程までに。
━━━━━ーーー
その後“洗濯当番”と言うキャスケット君も加わり3人で必死になって洗いまくり、全て綺麗サッパリ終わった頃には昼過ぎになっていた。
「「『ギュルル〜』」」
ういー!!っと伸びをすると同時に、息がピッタリ重なった私達の腹の虫。
「腹減った〜」
『右に同じ〜』
「へへへ〜。あ、そう言えばまだ食堂案内しなかったよね?時間も丁度良いし、お昼食べに行こうよ!!」
そんなベポの提案に、私達は3人仲良く並んで食堂へと向かう事に。
そして食堂の扉を開けた瞬間、中に居た船員達がこちらに目を向け、私を見るなりギョッと驚いた顔…を、しつつもよ?
「いらっしゃーい」
「どもー」
「コンッチワー」
すぐ元の空気に戻って他にも、よー。オソヨーさん。なんて皆一言ずつ私に声を掛けてくれた。
そんな状況に戸惑いつつ私も、おッおう。なんて返事をする。
でも一言ずつ言葉を交わす以上の会話は何も無く、皆そそくさ離れて行くから、何か逆に違和感…?
そんな空気を気にする事なく、あの2人はどんどん進んでいくから、私も慌ててその背中を追いかけた。
“ジー”
『………』
「でよぉ、ベポの奴そん時俺にマグロの血を飲ませてきやがったんだよ!!」
『へー』
“ジーー”
「でもアレ、すんごい新鮮だったんだよ?」
『…へー』
“ジーーー”
『…………』
でも席に着き食事しながら3人でくだらない話をしている間、四方八方から感じる視線、視線、視線ッ!!
『ーッ…!!』
もうなに?!チラ見なんてもんじゃねぇ、ガン見!!何かあるならハッキリ言いやがれ!!
「随分盛り上がってるな」
ジリジリ上がっていた私の怒りメーターが振り切れる寸前、あんたが噂の首刈りか。なんて降ってきた新手の声。
なんなんだよッ!!
(…どうも)
(俺もこれから飯なんだ。ここ良いか?)
(…どうぞ)