BOOK
□No.23
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扉の前に立ち、船長さーん朝で…あ、お昼ですよー。と声をかけながら戸を叩く。
『…………』
…反応無し。まだ寝てんのかな?とりあえず戸を叩き続けよう。
“コンコン…コンコンッ…”
シーン…
“ドンドンッ!!…ガンッ、ガンッ!!”
シーンッ…
…いい加減起きやがれ!!って扉をドガッと蹴ったら、綺麗に私の足跡がついてしまった。
『やべぇ!!』
手でササッと足跡を拭き取り、何事も無かったようにドアノブをひねる。
そーっと中を覗き込めば、本棚から漏れた書物が大量に積み重ねられた机が見え、更に顔を侵入させると、部屋の隅に設置されたベッドがモッコリ。
とりあえずその場で、おーい昼過ぎですよー。と声をかけるが相変わらず無反応。
仕方無く部屋の中に足を踏み入れベッドに向かい歩きだすと、4歩目で床に積まれた本の山につまずき私は派手に音を立て転んだ。
『ぶふぉ?!』
痛ぇ!!もうッ!!何で私の能力って自業自得な現象には作用しない訳?!
『うーッ…!!』
くそー…鼻打った…
「お前さっきからうるせぇんだよ」
鼻をナデナデする私にそんなくぐもった声が寄越される。誰のせいだよ。
『起きましたか?』
若干八つ当たり気味に語気を強めそう聞けば、船長さんは、眠い…とまたシーツに潜り込もうとしだしたので、私は慌てて奴の元に駆け寄った。
『船長さん起こしてこないと私がペンギンさんに殺…あーッ!!思い出しちまった!!』
コンチクショーッ船長さんのせいですよ!!
先程のトラウマが蘇った私は、起きてーッ!!と船長さんをユサユサユサ!!
『起きてくれなきゃ私が困るんですー!!』
私の能力を持ってしても、あのデスマスクは跳ね返せないのーッ!!
「うぜぇな…」
いやウザいとかじゃなくてー!!
「ん?…なんだお前、それ返してもらえたのか」
開ききってない目で私の背に納まった相棒を指す船長さん。
あ?あぁ、さっきペンギンさんに…そう私が答えると、鼻で笑いながら、おめでとさん。と訳の分からない祝辞を船長さんから戴いた。どう返すのが正解なの?
「…………」
『…な、なんですかい?』
そして何故か船長さん、私の顔を無言でガン見。えッ、何?
「…片付けておけよ」
そう言って船長さんは崩れた本の山を指し示したかと思えば、ムクッと起き上がって室内にある扉の向こうへと消えて行った。
“キュッ…ザザザァー”
そして勢い良く響く水音…どうやらあそこはシャワー室のようだ。
あんな広い風呂があるくせに、此処にもあんのかよ…金持ち海賊団は違いますねッ!!
扉越しに冷めた視線をぶつけつつ、言われた通りに私が蹴倒した本の山を片付け始める。
でも足元の整理を終えても、何だか見た目が変わらない…無駄に本が多過ぎるんだよ。
掃除スイッチが入った私が、卓上へ無造作に積まれた本も大小別に背表紙を揃え直し、綺麗に並べていた所へと、湯気を纏った上半身裸の船長さんが姿を現した。
男の胸板ぐらい、アイツので見慣れてるから特に気にもせず鼻歌混じりに作業を進めれば、なんだつまらねぇ。と呟きパーカーを着だした船長さん。
リアクション待ちだったのか?意外だな。