BOOK
□No.26
1ページ/1ページ
先程までいた甲板へと戻れば、先に集まっていたクルー達は既に臨戦態勢だった。
皆目が輝き各々楽しそうな表情を浮かべてて、あぁ…この人達は海賊なんだ。そう改めて実感。
「おー、お前もやんのかよ!!」
同じく楽しそうな顔で甲板へと駆け込んで来て、私にそう明るい声を掛けるのは、さっきいつの間にか隣から消えていたシャチ。
『勿論ッ!!て、言いたい所だけど…まだストック無いからねー。今はまだ戦えない。けど何かすーっごい今私動きたい気分なのーッ』
私が空を仰げばシャチは、ストック?と何やら私の言葉を理解していない様子だが…別に良いや。説明すんの面倒だし。
「何やってんだお前等」
考えこんでるシャチの横には、いつの間に現れたのか、ダルそうなローが居た。
「お前は船内にいろ。邪魔だ」
そして肩を回す私を見て、ピシャリと強く言い渡すロー。
「お前に言ったんだぞ」
先程の言葉を受けても尚肩を回し続ける私に寄越されたのは、鋭い眼差し。
『…別に私は戦わないよ?敵の懐突っ込んで、攻撃全部かわすだけ。動かないと体鈍っちゃうしさぁ』
これは約束違反じゃないでしょ?そうニィッと笑えば、チッ…好きにしろ。とだけ残しローはスタスタ何処かへ行ってしまった。
「来るぞッ!!」
その声を合図に私も左腕の布を二の腕まで傷を隠すように覆い、普段は胸元まで下げたファスナーを大きめに広がった襟の縁まで上げきった。
そうすれば輪郭のラインに沿って、襟部分が顔に密着し鼻柱から下、口元までを全て隠す事が出来る。
襟の辺りからファスナーが左寄りにずれるデザインだから、センターマンみたいにならずに済むし安心!!
まぁ、たまにファスナーが左頬に挟まって泣きたくなるけど…これが能力を得てからの私の戦闘スタイルなの。
ピッタリと横付けされた船から敵が乗り込んでくると同時に、こちらも相手側に乗り移る。
私も敵船側に移動しその船内へ。
暫くソロソロと神経を研ぎ澄ましながら歩いていると、正面に3人の男が現れ…私に気付いた男共は各々の武器を構えだした。
運動の時間です
(ねぇ、この船に海楼石ある?)
(あぁ?何言ってんだオメェ)
(んーですよねー)