BOOK
□No.28
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今朝、目が覚めた俺の視界にドーンと大きく映り込んだのは、大量の洗濯物だった。
「あぁー…今回の洗濯当番、俺だっけ…」
言うまでもなく、最悪のお目覚め。ってか皆汚しすぎだろ!!
「うげーッ、これとか黄ばんでやがるし!!誰だよこんな汚れ溜めてやが…あ…」
これ、俺のツナギ…
「はぁ…」
朝からちょっぴりテンションダウン。
でも夕方までかかると思われた洗濯は、偶々居合わせたベポとミラーが手伝ってくれたから、随分早く終わった。
だから若干テンション上がった俺は、飯食ってちょっと寝たら早々夜の宴の準備に取り掛かるつもりでいたのに…
「シンクも綺麗に拭いとけよ」
「…へい」
何故かすげー怒ったペンギンに色々仕事を言い付けられて、本当撃沈。
静かにキレるペンギンに反抗なんて出来ねぇ…死ぬより恐ろしい事になる。
やっとの事終わらせてベポとミラーが寝てる甲板で、俺も一緒にチョット休憩。
でもそしたら今度は船長に叩き起こされて…
「今日中に終わらせておけ」
「……へい」
またあり得ない量の仕事を次々言い渡された。
ってかさー…何で船長まであんな機嫌悪い訳?!もー俺分かんないッ!!
そんで、主に船長の本が置かれてる書庫の整理をしてる所で今回の襲撃。
久しぶりの戦闘に溜まった疲労も忘れて、本を投げ出し意気揚々飛び出しヤホーイ!!
…の筈だったのに。
「はぁー…」
何だよコイツ等。弱すぎて肩慣らしにもなりゃしねーって。
他のクルーも皆思う事は同じの様で、不完全燃焼のまま早々切り上げていく。
俺もさっきまでの作業で足腰ダルいし、疲れたし…そろそろ戻るかな。ってため息を吐いた所に、スッゲー太った男が俺目掛け斧をドーンと…
「逃げるなよ若造」
そんで何故か前線に引き戻される俺。
んー…俺もー疲れたー早く帰りたーいー。
面倒くせぇしヤル気ねぇし、直ぐ終わらせるつもりだったのに…この斧野郎が意外に粘るから、想像以上に体力持っていかれちまった。
一応無事終わらせて、ひと息つくと同時にヒョコッとミラーが現れた。
だから俺は、おー。って声を掛けて、挙げた手をそのまま膝に持っていき腰をおる。
この疲労の3/4は船長のせいだ…くそぅ腰が痛ぇ。
後でベポにマッサージしてもらおう…なんて考えてたのに。
『危ないッ!!』
そう叫んだミラーにいきなり、ドンッ!!と思いきり突き飛ばされ、周りの全景色がゆっくりとこの瞳に流れ込んだ。
「ッ?!」
大きく見開いたこの目に映る光景が、俺の血の気を奪う。
伸ばした手が届く事無く、虚しく空を切り倒れこんだその瞬間…振り下ろされたサーベルがミラーの身体を…
「ミラーーッ!!!!」
一瞬で止まった思考は、俺に最悪の事態を突き付ける。
“ブシューッ”
降り注ぐ真っ赤な雨。
ミラーが、斬られた。
俺の目の前で、俺のせいで、斬られた…
「ウソ…だろ?」
生暖かい鮮血が甲板に広がる。
ミラーの血。斬られたから。俺のせいで…斬られた。キラレ『なに?』タ……え?
『大丈夫シャチ?』
「え?…えッ?!お前今絶対ッ!!ナニ?!えッ?えーッ?!」
無傷のミラーの後ろで、さっきサーベルを構えてた男が肩から腰にかけ大量の血を流し悶えている。どッ…とゆことー!!
「ROOM」
「『?!』」
軽くパニックな俺の耳に、その低い声が響いて、俺達の周囲を薄いサークル状の青い膜が覆うのを見た瞬間、俺は更にパニック。
「やべぇ!!ミラーここ離れるぞ!!」
言うより早くミラーを担ぎサークルから飛び出すと同時に、男の聞くに耐えない悲鳴が…
「か、間一髪…」
危ねぇ…俺達までバラされる所だった…
『わッ!!バラバラ!!うぇ?!生きてる?!ゲェ生首が喋ってるよ?!』
コイツもパニック。