BOOK
□No.29
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シャチに甲板から追い出され、ふと余裕が出来た頭で改めて自分の身なりを確認すると…わーお。
『きったねぇ…ベトベトじゃん』
結構酷い有り様だった。
返り血は勿論…汗もかいたし、宴の前にお風呂で綺麗に流したいなぁ。でも勝手にあの大浴場使って良いのかな?
んー…とりあえずローに聞いてみよ。
コンコンッと目的地の扉をノックすれば、今回はすぐに、入れ。と言葉が返ってきた。
言われた通り部屋へ入れば、ソファーに座って本を読んでるローの姿が…
流石頭良い奴は時間の使い方が違うなぁ。私だったら確実ゴロゴロしちゃうねッ。
感心する私へとため息を寄越すローに、何だ。と聞かれ…此処を訪れた理由を思い出し、お風呂に入りたいって事を伝える。
「…今日は此処のを使え」
そうクイッと指先で示されたのは、さっきローも使ってた室内の浴室。
んー、まぁ此処なら誰かとバッタリ鉢合わせ!!の、心配も無いし…良っか。
『じゃあ、お言葉に甘えて。ふふふ…覗かないで下さいよー?』
「生憎お前に手を出す程飢えてねぇ」
“バサッ”
タオルと共にパーカーと短パンを寄越してきたローに顔を向ければ、その返り血だらけの服でウロウロするな。と怒られた…サーセン。
『んじゃ借りまーす』
浴室の扉を閉め、脱ぎ捨てた服は床に放つ際、ベチャッと嫌な音を立てやがり…この血を落とすのは大変そうだ。
“ジャーー”
熱い湯で全身をくまなく洗い流し、タオルで体を拭いていると、自分から普段とは違う匂いがして、何だかくすぐったい気持ちに…
『……嫌味かよ』
そして与えられたあの服は、袖が余り短パンは膝下まで延びてる…私も背は低い方じゃ無いのになぁ。
『はぁ…』
…足長すぎだろアイツ。