BOOK
□No.31
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『ッ?!ったぁー……!!』
目が覚めたら、本当頭がカチ割れるんじゃないかって程に無茶苦茶痛かった。
あぁ…昨日すげぇ飲んだんだっけ…やべぇ途中から記憶ねぇよ…最悪だ。
『ありゃ?』
何か私の左頬…腫れてない?気のせい?
いや今はそんな事より…み、水…水飲みたい…
あぁ…ローに頼んで二日酔いの薬もらおうかな。
とりあえず食堂に行こう…そう意を決し、いつの間に戻ったのか分からない自分の部屋から出て、重たい足を引きずる。
食堂に着くと、もう陽も昇りきってる時間なのにクルー1人とペンギンさんしかこの場には居なかった。
『おはよーございます…これだけですか?』
ボソボソ喋る私に苦笑いを浮かべるペンギンさん。
「いやぁミラーちゃん、昨日は面白いもん見させてもらったよッ」
そんなペンギンさんを気にする事無く、豪快に笑いながらクルーが私へ水を持って来てくれた。はて、私何かしたっけ?
「その様子だと覚えて無い様だな…まぁ当の本人も覚えてないだろが…」
それより。と相変わらず苦笑いのペンギンさんが濡らしたタオルを私に寄越し、船長の所に行けよ?って優しく言ってきた。
「その頬、湿布を貼った方が早く引くだろ。今はこれで冷やすと良い」
あ、そうだ…何故か殴られたみたいになってんのよね私…なんで?
その原因を尋ねると、クルーは我慢出来ないって様子で吹き出してしまい、ペンギンさんも私と目を合わせ様としない…こりゃ相当の事だな。
『…とりあえず行ってきまぁす』
貰ったタオルを頬に当てながら真っ直ぐ船長室を目指す。
船長室に着く頃には、頬のタオルがオデコに移動してたが仕方ない…今は頬よりこのカチ割れそうな頭の方が重症だ。
『ローさーああぁぁーッ…ー…!!』
目的地の扉をノックすると同時に、その振動が諸に頭へと伝わり…私の口から声にならない声が出た。
『くーッ…!!』
…とりあえず一度は声かけたし、良いよね。うん、良しとしよう。もう無理だ。
扉を開けると、ローはやっぱりまだ爆睡中。
足元に注意を払いベッドまで近づき、ローの肩をユサユサ乱雑に揺さぶる。起きてくださーい。
“グラリ…”
しかしその時、風に煽られたのか、船体が大きく揺れ…中腰ヘロヘロ状態な私はバランスを崩して、ドンッ!!と思いきりその場へ尻餅をついてしまった。
『ッ…!!……ーッ…!!』
あぁーもう無理。無理むり。今の衝撃で脳細胞ほぼ死んだ絶対。
グワングワン揺れる頭を庇いつつ私は、無心でソファーまで這っていく。ナメクジの如く、それはもう気持ち悪い動きで…
何とか横になれた所で、今は寝てこの痛みを忘れよう…そう決め込み、私は無理矢理意識を手放した。
起きたくない
(……)
(ペンギン?どうした?)
(皆を起こしてくれ。じき時化る)
(…半分は甲板だよペンちゃん)
(……)