BOOK

□No.33
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『ッ…うぅー……』


目が覚めると、相変わらず頭は痛かったけど、肌に触れるシーツが凄く気持ち良かった。


あれ、何で私ベッドで寝てるんだ?確かソファーで…ふとそんな疑問が頭に浮かび、ゆっくりとそちらの方を確認すれば、そこには本を読んでるローの姿。


私の視線に気付いたローが、起きたか。と手元の本を閉じ、今度はグラスを片手にこっちへ歩み寄って来る。


「飲め。薬を溶かしてある」


『…ありが、とう』


受け取ったグラスの中身を大人しく飲み干すと、ローは私の左頬に手を伸ばし、だいぶ引いたな…って、そこをひと撫でして離れた。


そう言や腫れてたんだっけ?もう全然痛み無いから忘れてた。寝てる間に何かしてくれたのかな?


『あのー…もしかして、私さぁ…』


誰か殴ったの?そう恐る恐る尋ねれば、ローは眉間に皺を寄せ訝しむように私を鋭く見下ろした。


「お前、覚えてねぇのか」


えっとそれはー…昨日の事、ですよね?


『…7人目までは…かろうじて』


その答えに、ハァ?ってな感じに歪んだ顔を向けられた。


「ったく…もうあんな馬鹿な真似するな」


…いやどんな馬鹿な真似ですかい。


はぁ…そんな醜態晒してたのかなぁ私。


久しぶりのお酒で舞い上がっちゃってたよ完璧…でも私が殴りかかったのって、一体誰なの?!


「今後酒は控えろ。あと、お前が殴ったのはシャチだ」


『えッ?!』


まぁ謝る必要はねぇよ。そう意味深に笑ってソファーに腰を下ろすロー。


シャチ…君と私の間に一体何が…?!


その後もローと軽く雑談を交わしていると、いつの間にやら頭が軽くなっている事に気が付いた。


『すごッ?!もう治っちゃったよ!!』


「そうだろうな」


誰が調合したと思ってる。って不敵に笑うローにお礼を告げ、昨日汚れてしまった服を洗う為、部屋を出ようと扉に向かう私を呼び止める少し低い声。なんだ?


「コイツも洗え」


『ぶへッ』


そう言って投げ寄越されたのは、先程私が寝ていたベッドのシーツ…


「ついでに顔も洗え。お前よだれ垂らしすぎなんだよ」


ぬはッ!!慌てて顔面を確認すると確かに…カピカピ…恥ずかしい!!


私はシーツをすっぽり被ってダッシュで部屋を後にした。


幸い、誰とも出くわす事無く無事ソッコー顔を洗う事ができ、それから洗濯を終わらせて確認した外の景色は見事なまでの快晴ピーカン。


せっかくだし、甲板に干そうかなぁ。って私は鼻歌混じりに足を進めテクテクテク。


そして辿り着いた甲板には、クルーが気持ち良さそう…には何故か到底見えなかったけど、皆揃ってゴロリーン。


仲良く昼寝?相変わらず呑気だな〜。



実は死にかけ



(おーい、いくら天気良いからって、いつまでも寝てたらペンギンさんに怒られるよ?)

(((……)))

(洗濯物干すから皆起きてッ)

(((…鬼がいる)))

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