BOOK
□No.35
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ジギーの手配書を確認してから数日が経ったある日の午後。
あれから特に大きな戦闘も事件もなく、平和に日々を送れている。
ただ一つだけ…
『あ、シャチー』
この前食堂でバッタリ出くわしたシャチに、一応前回殴った事を謝っておこうと思ったら…
「ゲッ?!じ、じゃあまたなー!!」
凄い勢いで逃げられた。まじフルダッシュ。
そんな酷い事したのかな私…はぁ。
そしてその後も、シャチとは顔を合わせない日々が続いた。
『あれ、さっきまで此処にシャチ居なかった?』
「あぁ、なんか慌ててどっか行ったぞ」
『ふーん…』
毎度毎度、物の見事に避け続けられ続け、ちょっとショック。
ちゃんと謝りたいのに…なんでなんだろう…
━━━━━ーーー
今日は生憎の雨で甲板に出られず、食堂に集まった皆とポーカーの真っ最中。
「おッ、ポーカーやってんの?俺もやる!!」
そう言ってドスンと私の隣に座ってきたのは、何やら鼻歌ルンルン、ご機嫌な…シャチ?
「おいミラー、俺の分もカードきれ」
…あれ?あれれッ?
『シャチ…私の事、避けてたんじゃ…?』
「ん?あぁ、何か前回の宴の後、ペンギンにミラーと一週間接触禁止!!って言われてよ…破ると、怖ぇじゃん?」
悪かったな…避けたりして。そう苦笑するシャチに私はホッと胸を撫で下ろした。
『そうなんだ…良かったぁ。あの日私、シャチに殴りかかったらしいからさ…何かよっぽど酷い事したのかと思ったよ!!私途中から記憶無くてさぁ。ハハハッ』
「いやぁ実は俺も初っぱなの方から記憶無くてさぁ!!起きたら顔面痣だらけで腫れてるし、ビビッてよぉ〜ヘヘヘッ」
『まぁ、とりあえず仲直り?だねッ』
おうッ!!なんて嬉しそうに私の頭をワシャワシャしてくるシャチに私もやり返す。
そんな私達を見てクルー達もひと安心した様子で、そのまま優しく見守ってくれていた。
でもそんな平穏な時間は一瞬で消え去る事となる…
「いや〜本当あの時はビビったよ!!シャチがいきなりミラーちゃんの乳揉みだすんだもんよッ」
この証言によって。
『ハハハッ…は……は?』
いつだか二日酔いの私に水をくれたクルーが、派手に笑いながらあの夜の出来事を丁寧に話し出し…
「マジかよシャチ!!お前そんな事したの?!マジうけんだけどッ!!」
「ブハハハッおまッ!!そりゃねぇわ!!」
話を聞き終えクルーが腹を抱え笑い出す中…私とシャチ、フリーズ。
「しかも一回じゃ無かったもんなぁ。鷲掴みからの揉みしだきだよッ」
妖しくモミモミ閉じ開くクルーの手つきがやけにリアル。
『……へぇ…鷲掴みからの揉みしだきねぇ…ふ〜ん…』
やっと思考が追い付いた頃には、私をドス黒いオーラが纏っていた。
「えっ…と、ミラーさん?あの…」
『……テッメそこになおれぇぇッ!!』
この野郎ッ!!とシャチに殴りかかる私を必死にクルーが止めに入る。いや離せ、殴らせろ!!
「ちょ、ミラー?!ストップストップ!!あいつ殴っても痛ぇのミラーだから!!とりあえず落ち着けって、なッ!!」
「本っ当すまん!!まさかそんな事したとはッ、本当すまーんッ!!」
顔面蒼白のシャチは必死に土下座。もう自慢のグラサンが傷付いちゃう程土下座。
それでも私の怒りは鎮まらない。
くそーッ…私の乳揉みしだきやがってこの野郎ッ!!
仲直り
(跪け!!図が高いッ!!)
(は、ははぁ!!)
(貢ぎ物を寄越しなさいッ!!)
(は、ははぁー!!)
(…ミラー?何して…る?)
(あッ、ペンギンさん!!ペンギンさんもやります?楽しいですよッ)
(……何の遊びだ?)