BOOK
□No.38
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『ふぅ…温かい』
土砂降りの中での戦闘は皆それぞれ手こずったらしく、格下だったにも関わらず、結構長引いた。
一緒に過ごすうちにちょっとずつ分かってきたこの海賊団の事…此処の人達は、強い。
だから今日の出来事は本当に驚いた。
まさか海軍の船が爆発するなんてさ…
『………ッ』
いや、違う。本当はそこじゃない。
その炎に飛び込むローの背中が…何故かとても怖かった。もう戻らないかと思って…
炎を見るのなんて嫌いだ。本当…大嫌い。
いつだって冷静沈着なペンギンさんがこんな時止めないなんて!!そう焦って辺りを見渡せば、そのペンギンさんが居ない事に気付き…ローの謎めいた行動の意味が分かった。
だから慌てて私も乗り移ろうとすれば、クルーに全力で止められて…
(離してッ!!ローが!!ペンギンさんが!!)
(大丈夫だから!!船長に任せろ!!)
あぁ…私ちょっとこの船に感情移入しすぎだよなぁ。
あと半月後にはバイバイなのに…私は居候。これ以上干渉するのは危ないなぁ。
『はぁー…』
うん…控えよう。
だいたい皆私みたいな居候を、受け入れ過ぎなんだよ本当…もう本当にさぁ!!
『あー』
駄目だ、控えるんだった。うんうん。
覚悟を決め、よしッ!!と勢いよく浴槽から出て着替える途中も、無意識に、ペンギンさん大丈夫かなぁ…なんて考えてる事に気付き、必死に頭をブンブンブン。
浴場の扉に掛けられた私専用の“覗くなッ!!”と書かれたプレートを外しながら、仮の自室へ向かう。
部屋に着くや否やベッドへと雪崩れ込み、枕に顔を埋め足をバタバタ…
今度は仰向けになり腹筋開始。
次は背筋…よし腕立てもやっちゃお!!
んーッ、Y字バランスだ!!ぬうぉ?!つったツッタ!!
……っだぁ!!駄目だ駄目だッ!!
考えない様にすればする程、ペンギンさんの容態が気になる!!逆にストレスだわこんなの!!もう止め止めーッ!!
諦めた私は部屋を出て、自分が初めてこの船で目覚めた治療室の扉を叩いた。
「入れ」
するとすぐ返ってきたローの声。