BOOK
□No.39
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“ザーーーッ”
最近降り続けている雨は今日も止む事なく、力強く船を打ち付けている。
“バァーンッ”
「ペンギンが目ぇ覚ましたってよ!!」
「なッ?!」
激しい雨音と共に響いたその声に、俺は食堂で繰り広げられていたポーカーを中断して、手元のカードをポイポーイッ。
あぁ!!俺今ストレートフラッシュだった!!ともちょっと後ろ髪引かれる思いだったが…ペ、ペンギンの方が大事だよ!!
「やっと起きたかー!!」
そう勢い良く一番乗りで治療室に飛び込んだ俺は船長に、うるせぇ。って思いきり脳天殴られた…
遅れて他の皆も駆け付け、この狭い治療室でギャーギャー騒ぐ騒ぐ。
「テメェ等…」
でも、船長に追い出されそうになったから、慌てて一同口をピシャリ。
“シー…ン”
野郎ばかりが鮨詰め状態にも関わらず、静寂に包まれたこの室内…やべぇ、俺こんな雰囲気無理!!屁ぇ出そう!!
あぁーそろそろ喋りてぇ!!なんてウズウズしてたら扉の向こうから、ドカバタドカバタッ!!って足音が近づいてくる気配…
「………」
ヤベェヤベェこの流れ絶対やべぇ!!船長の顔が引きつってるって!!
『ねーッ!!ペンギンさん起きたって本当ーッ?!』
「アイー?!」
バーンッと勢い良く飛び込んで大声を投げ掛けてきたのは、やっぱりミラー、そしてその後ろにベポ。船長…顔が…
「だからテメェ等…うるせぇんだ」
よッ!!と続けて何故か俺が殴られた!!
「ーッ!!」
本気で痛ぇッ!!なんでぇ?!えー?!理不尽だ!!一番近いからって!!
そんな船長の不機嫌オーラにあてられソロソロ出て行ったクルー共。残ったのは俺と船長のみ。俺はまだ頭が痛くて涙目…
ミラーとベポは風呂掃除の途中らしく、泡だらけだったので船長に怒られ、ペンギンの様子だけ確認して泣く泣く戻ってった。
「だいたいペンギン、何であの時向こう側に居たんだよ」
俺が殴られた頭を労りながらそう聞けば、アイツは、ちょっと調べたい事があってな。とか言って言葉を濁した。なんだッ、隠し事かこの野郎!!
「ふんッ、とにかく!!皆スゲー心配したんだかんな!!」
八つ当たりも込めてそう怒れば、すまなかった。って謝られたよ。全くだ!!
ペンギンの無事も確認したし、俺も戻るかッ。無駄に殴られたし…ストレートフラッシュも無駄にしたし…ははは。
「はぁー…じゃ、俺行くわ」
「………シャチ」
でも扉に向かった所で俺を呼び止める、真面目な顔したペンギンの低い声。
「なんだよペンギン」
「…この近海に“解体師”がいる」
「は?」
解体師?…誰だっけなソレ。
「見掛けても交戦するな、絶対だ。すぐに潜行しろ。皆にも言っとけ」
は?なんで?
「そして…この事はミラーには伝えるな。良いな?何が何でも隠し通せよ」
分かったか。なんて念を押すペンギンのあまりの剣幕に俺は、おッおう。としか言えなかった。
一体何なんだよ…頭いてぇよ!!色んな意味でッ!!
ショート寸前
(俺は頭使うの苦手なんだッ。もう知らねぇ!!)
(俺ストレートフラッシュ〜!!)
(あぁ!!それ俺の札だろ絶対!!)
(おかえりシャチ〜、何の事だい?へへッ)
(むきゃーッ!!!!!!)