BOOK3

□No.8
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うーん…何でこんな状況になってんだ?


「へへッ…お前等お尋ね者のクロスロードと、トラファルガーだろ?その首ここに置いていきな!!」


え〜っと、確かローと鍛冶屋に向かってる筈なんだけど…3ブロック先の目的地に行くのに、何でこんな時間かかるかなぁ。


『あのさぁ…私達、この先に用があるんだけど。退いてくんない?』


因みにこの台詞を言うの、コイツ等で4回目。隣のローも、まだ何も始まって無いのに血管浮いてるし…


「お前等が大人しく首を寄越したら退いてやるよ…げへへッ」


げへへへへー。じゃねぇよ暇人。


『…ロー、今回はじゃんけんだ。負けた方がアイツ等の相手ね』


んッ。そう私がローに拳を突き出せば、奴は面倒臭そうにため息を吐いて、お前じゃ時間がかかりすぎる。って足を進めた。


最初の2組は2人で適当に相手をして、前回の奴等は銃相手だったし、ダリぃ…ってローの奴が投げ出したから、全部私がやった。


確かに、わざと流れ弾に身体を持っていくって作業は、思ったより時間がかかったけどさ。


「ROOM」


黙って前方を眺めるが、ローは余程面倒臭かったのだろう…


『わーお』


本当に一瞬で終わらせ、何事も無かったようにスタスタ歩き出す背中を私は慌てて追いかけた。


『アイツ等本当何なのさ…だいたい、首を刈るのは私の専売特許だし』


「海楼石があればな」


『むッ、それに私だってあんな奴等、チョチョチョーッと瞬殺出来るんだからねッ?!』


「海楼石があればな」


『むきゃーッ!!なにッ?!何この敗北感!!』


「海楼石が無いからな」


…撃沈だ。


楽しそうに笑うローとは逆に私は肩を落とし、2人並んで進んでいると漸く目的の鍛冶屋に辿り着いた。


「へいへ〜い。どもぉ」


暖簾をくぐると所狭しと置かれた刃物の隙間から、激しくヤル気の無さそうな甚平を着た兄ちゃんが、アクビと共に下駄を引きずって私達をお出迎え。


客商売なんだから、お前も少しは愛想振り撒けよ…でもまぁ、並べられてる刃物は美しい艶を放ってるから、腕は本物なんだろう。多分。


「俺の刀とコイツの牙を研げ」


いや、お前も客なんだから、命令口調は止めろって…お客様は神様じゃねぇんだぞ。


「牙ですかぁ〜?」


伸びをしながら、そう言って甚平兄ちゃんは私を見やる。


じゃあ口開けて〜。と、抜けた事を言い出し兼ね無いこの男に、私から背中の牙を差し出した。


「へ〜面白いの使ってるねぇ。ん〜…これは俺じゃあ無理かなぁ」


『へ?』


「ごめんねぇ?」


お兄さんのは研いだげるから、ちょっと待ってて〜。なんてローの長刀を手に歩き出す甚平兄ちゃん。


『ちょちょちょーい!!』


そのだらしない背中を慌てて呼び止める。どーゆーこっちゃねーん!!
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