BOOK3
□No.9
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珍しく二日酔いのダルさも無くスッキリ目覚めれば、ペンギンが部屋に居た。
俺が寝る時は居なかったくせに…朝帰りかよ!!って思ってたら、浴槽にツナギが浸かってたから、きっとビジネス帰りだ。
コイツ、馬鹿みてぇな香水の匂いは嫌いだからな。
静かに眠るペンギンのツナギを窓際に干し、俺は部屋を出て真っ直ぐ4階に向かった。
「……何このナイフ」
目的の扉に深々と刺さったナイフに俺、困惑。
でも血痕が付いてる訳でもねぇし、とりあえずソレを引き抜いてから、声を掛ける前に一応扉の前で耳を澄ませる…大丈夫ッ、最中じゃねぇ!!ってか人の気配がねぇ?!
扉には鍵がかけられ、ノックしても応答が無い…置いて行かれた!!酷くねッ?!
「ミラーの奴、今日は一緒に行動するって言ったくせにッ。薄情者め!!」
2人にハブられた俺はとりあえずクルーの部屋を覗いて回るも、皆寝てるか既に居ないか…あれ、悲しくなってきた。
良いよ…良いよッ!!1人でだって遊び回ってやる!!
半分ヤケになって宿を飛び出した所で、手元にまだあのナイフを持ったままだった事に気付き、邪魔だなぁ…とも思ったが、後で船長に報告するために、とりあえず懐へ仕舞い込んだ。
食い物が並ぶ市場で軽い財布を更に軽くし、適当に行く宛も無く街をブラブラブ〜ラ。
「や、ヤベェ…!!」
そんで、偶々立ち寄った武器屋で目に入ったジャックナイフに一目惚れぇ!!
「…………わお」
が…その値札に並ぶ0を数えて、俺は黙って店を出る。
「はぁ…」
つまんねぇ。金もねぇし…金を使わず何か楽しむ方法は…うーん…
「テメェ…そのマーク知ってるぜ?丁度良い、俺達と遊んで行けよ」
珍しく頭を悩ませている所で、変な奴等に馴れ馴れしく肩を組まれ…そのまま俺は路地裏へと引きずり込まれた。
金を使わず面白い事、あったわ!!