BOOK3
□No.14
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『ロー起きて』
「……」
ぶん殴ってやろうかコイツ。水ぶっかけたら起きるかな?あぁ、でも起きた瞬間…殺されるね、確実に。
『ロー、昨日の鍛冶屋行ってくるよ?良い?』
未だ目を覚まさない、寝起きの悪いこの男に諦めのため息を吐いて、ゆっくり扉に手をかける。
だけどノブを回すと同時に、後ろから静かに私の名を呼ぶ声が聞こえた。
『あ、起きた?おはよう。鍛冶屋行ってくるわ』
「…今何時だ」
8時過ぎ。時計を確認してそう伝えれば、ローは黙ったまま、こっちに来い。って目で訴えてきて…
『はぁー…』
仕方なく扉から手を離し、再びベッドへと戻る私。
「後で俺も行ってやる…」
私を捕まえるや否や、ローはそう耳元で囁き次いで、だから今は寝るぞ…なんて言って再び目を閉じだした。
しょーがない奴…意外に広いコイツの背中に片腕を回して、私も目を閉じる。
本当、私もローに甘いよなぁ…
――――――----
「おい、起きろ」
『……んー…』
「…鍛冶屋は良いのか」
かじやぁ?んー、かじや…鍛冶屋!!
んはッ!!って飛び起きれば、ローが妖しく笑って顔を近づけて来たから、慌ててその顔をグイーッ。
捕まる前にベッドから飛び降りて、洗面所にダッシュ。
『今何時ッ?!』
私の悲痛な叫びに対して、不機嫌な顔で後を追ってきたローの口からは、13時だ。って…13時だと?!
『ふぁんふぇきへんほひぃふ』
「…人語を喋れ」
口をゆすぎ、遅れて歯を磨きだしたローに先程と同じ台詞を放つ。
『完璧寝過ごした!!』
私の嘆きにローは何も言ってこず、黙って歯を磨いたまま。ふんッ、宇宙語になるのが嫌ってか!!
「丁度昨日と同じぐらいの時間で良いじゃねぇか」
やっと喋ったと思ったら…ロー君、昨日は確かこの時間、我々は飯屋に居たぞ。
でもまぁ、確かに時間の約束はして無いし…良いのかな?顔を近づけてきたローに応えながら、そんな事を考える。
「考え事とは随分余裕だな」
…何故分かった!!