BOOK3
□No.17
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“ガシャガシャガシャーン…”
今の今まで楽しそうに馬鹿笑いしてたスーパー問題児が、その能力を抑えたらしく…一気に高らか連なっていた刃物諸々が、その場で派手に崩れ落ちた。
「でぇ…それ、誰が片付けんの?」
うん…まぁ、アンタだろうね。
私はファスナーを下ろし顔を解放させ、遠い目で店先の有り様を眺め放心状態の甚平兄ちゃんに手を合わせる。頑張れー…
「随分奴に反応するんだな、殺戮武人屋。何かトラウマでもあるのかよ…フフッ」
ローが長刀を納め、楽しそうに笑う横で私も牙を背中に納める。ジギーにトラウマ?何だろう…
「まさかあの野郎の妹がお前とはなクロスロード。ハッ!!面白ぇ…おいトラファルガー、そいつ借りてくぞ」
『…はッ?!いや私行かないよ?!』
「キッド!!必要無いッ!!さっさと戻るぞ!!」
意見が一致した私と仮面野郎。何か親近感湧くわぁ…ローもスーパー問題児を無視して、戻るぞ。と私の腕を取る。いや私も戻りたいけども!!
『ちょっと待ってよロー、私まだあのジイさんに用があるんだってば』
あの人…絶対私の両親の事を何か知ってる筈。それを確認するまでは戻れない!!
私を連れて行く行かないで争う奴等と、宿に戻る戻らないで争う私達でこの場がカオス。
「やかましぃわッ!!!!」
「「「『ッ?!』」」」
だけど、いきなり腹に響いたその怒号に、私達4人は揃って閉口した…何か、ただの怒鳴り声じゃ無かった様な気がするのは…気のせい?
私の頬に伝う、酷く冷たい汗…どゆこと?
「まずはそこのキサン、キサンや赤髪のガキ。ヌシは店ん中を元戻せ」
隻眼で睨まれ、あの態度デカ過ぎるスーパー問題児ですら薄ら額に汗を滲ませてる…
でも、何で俺がやんなきゃいけねぇんだよ。なんて反抗する辺り、流石大物と言うか…私なら光の速さで片付けに行くわ。
「おいクロスロード、キサンあのガキ説得せぇ。綺麗さっぱり元通りにさせろ」
えー…何でその役私な訳よ…
口に出して抗議する勇気は無かったけど、ウゲェ。っと思いきり顔をしかめ、私は断固拒否な姿勢を崩さなかった。だいたい、説得してアイツが動く訳ねぇじゃん。
「あのガキが店元に戻さん限り、ヌシの質問には答えんけんの」
『おっしゃスーパー問題児、今すぐ片付けろ』
ビシッと店内を指し言えば、あぁ?!と青筋浮かべて奴が凄んできやがった。けど別に、恐くねぇぞ!!いやッ!!実は恐い!!少しだけ!!
「おいトラファルガー、お前ん所の問題だろ。お前が片付けりゃ良いじゃねぇか」
「俺に命令するなと言った筈だ。バラ撒いたのはお前だろ」
何だとぉ?!なんて再び険悪ムードに包まれかけた瞬間、あのジイさんがとんでも無い事を言い出した。