BOOK3

□No.18
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『はぁ?!今日は無理だと?!ジジィてめ、ふざけんなよッ!!』


本当に答える気あんのかテメェ!!そう暴れるミラーを鍛冶屋が慌てて取り押さえる。俺はその鍛冶屋をミラーから引き剥がした。


『ロー放せッ!!殴らせろ!!』


馬鹿が…お前が殴っても意味ねぇだろ。


未だ暴れるミラーにため息を吐き、先程からふざけた発言を続ける狸ジジィへと視線をやる。


「お前の言い分は聞いた。次はこっちの番だろ」


「文句はそこのガキに言え。奴が約束の時間を10分も過ぎたんが悪いんやろ」


俺がユースタス屋を見やると、奴はダルそうに腕を組んで壁にもたれたまま、ソイツ等が邪魔するからだろ。などと吐き捨て、俺の腕の中で暴れるミラー、そして奴の傍らで放心している殺戮武人を顎で示した。


だが…店内を見る限り、とても元通りには見えない。とりあえず適当に全部樽に詰めた、という様子だ。


それはコイツの性格か、又は能力が細かい作業には向かないのか…


「明日聞いちゃる言っとろうが。ワシは用がある。同じ時間にここに来い。あぁ、別にキサンは来んでよか」


奴の能力を分析していると、狸ジジィはそう言って地図が描かれた紙を寄越し去って行った。


『あ、待てクソジジィ!!』


暴言を吐くミラーを鍛冶屋が、柄にもなく心底必死に宥めつけているが…奴のこの慌てぶりは何だ?


「ヘヘッ…随分行儀がわりぃ女だな。躾がなってねんじゃねぇのかトラファルガー」


…今コイツを消すか。それが一番手っ取り早いだろう。


俺が僅かな殺気をユースタス屋に向けたその瞬間…殺戮武人が静かに動いたが、奴から戦意は感じなかったため放っておいた…が、それが間違いだった。


『ッ?!』


急に腕の中のミラーが大人しくなったかと思うと同時…傍らの鍛冶屋が、何だこれ?と何かに困惑の色を示す。


「やはり血か…」


ユースタス屋の隣に舞い戻った殺戮武人が漏らした呟きに、俺はハッとし慌ててミラーの顔を掴みこちらへ向けた。


「チッ…」


困惑するミラーの口元が僅かに赤い。そしてその頬には…“m”のマーク。
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