BOOK3

□No.21
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歩きにくいなぁ…うげッ!!手に虫が?!気持ちわりぃ!!


辺りが暗くなり始めた森を進む中、確認し辛くなった足元と険しい獣道に悪態をつきながらも慎重に進む。


「お前本当にあの野郎の妹なんだろうな」


手を這うムカデの様なウネウネ動く謎の生き物を慌てて払い落としていたら、軽い足取りで前を歩いていたスーパー問題児が、さっきの野郎はどうでも良い。なんて吐き捨てながらもそう聞いてきた。


『…そうだ。って言っても、証明する方法なんて無いんだけどね』


ってかいつまで歩く訳?目的地は何処なのさ。そうブツブツ文句を言っていると、不意に右手の甲がズキッと痛んだ。


『仮面野郎てめッ、少しは丁寧に歩けよ!!』


「は?」


何を怒っている…?なんて若干呆れ声な、後ろを歩く仮面野郎は分かってない。私は薄く血が滲む手を見てため息を吐いた。


深い森は島の端に通じていた様で、拓けた視界の先に現れたのは大きな船。


私は、やっとかよ…と文句を垂れつつ、2人に続いて船へと乗り込んだ。


私これからどうなるのかなぁ。このまま楽しくお話しましょ!!って雰囲気じゃないし…あ〜帰りたい。お腹も空いたし。その前に私、生きて帰れる?


「ハッ、お前も良くノコノコ馬鹿みてぇに着いてきたな」


あー…やっぱり私、無事帰れないかも。本当何で着いてきたんだろ。


でもあの時、それ以外選択肢無かったよね。あったっけ?考えんのも面倒臭いや。今日はもう色々考えすぎてキャパ越えです。


…はぁ。


『もう何でも良いけどさ、さっさと要件言ってくんない?私、お腹空いたんだよね』


もうヤケだ。ドガッと広い甲板に腰を下ろしたすぐ隣、船首の位置にデカい骸骨があったから、その目の空洞に手を突っ込んで遊んでみた。これ本物?


「お前には危機感ってもんがねぇのかよ。今消しても良いんだぜ?」


人を殺す事なんか何とも思って無いって感じの楽しそうな顔付きでスーパー問題児がそう言い、私を見下ろしてくるけど…


『だって通常営業のスーパー問題児じゃあ多分私殺れないし、仮面野郎は私に危害加えないって言ったし』


他に仲間居ないみたいだし?そう静かな船上周囲を見回した所で、仮面野郎が船内から酒瓶を持って現れた。


『ずっと気になってたんだけどさ…アンタどうやってご飯食べるの?!もしかして買い食いとかもしない訳?!それ、絶対人生の半分損してるからねッ?!』


分かってる?!と私が身をのりだし、買い食いの素晴らしさを力説していたら…仮面野郎は何故か分かりやすく肩を落とし、盛大にため息。


そしてスーパー問題児は声を上げて大爆笑。なんなのさ。
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