BOOK3
□No.25
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「えっとつまりー…ミラーの兄貴を殺戮武人は嫌ってて、でもC・キッドはミラーを連れてって…C・キッドはミラーの親を知ってるみたいで、変なジイさんはミラーにマーク付けて…あれ?」
「…はぁ」
疲れた。この馬鹿に幾度もあの時の状況を説明するが、一向に理解しねぇ。
頭を抱え一生懸命整理しているシャチに、この短時間で何度ついたか分からない深いため息を吐く。
「何でも良い…とりあえず、すぐミラーを手にかける事はねぇだろう」
殺戮武人はミラーを連れて行きたくなくて、でも結局連れて行って…あぁ、また分かんなくなってきた!!
ブツブツまた一から考え出したシャチを尻目に、俺は微かに波音が響く方を見やる。
確かこの森を抜けきった先は湾岸だった筈…そこに船を止めてんだろう。
未だ必死に考えているシャチに再度視線を戻す…暗がりでも分かる頬のマーク。まさかシャチに抗われるとは思わなかった。
俺がもう少し早くミラーの血の存在に気付いていたら…そう思った所でもう遅い。俺はコイツの足に頼る他なかった。
ミラーもきっと此方の意図に気付いているだろう。アイツが足にサインを出さなきゃ良いがな…
俺が従順すぎる単純馬鹿に苦笑していると、奴は、船長がC・キッドど交戦して船長の刀がッ…って、まだそんな所で躓いてんのかよ。
「せ、船長の刀?!船長が?!船長?!船長船長ッ?!」
パニックに陥ったシャチが、バッ!!と俺に向けて来た掌の、なにやら刃物を握った様な平行に伸びる2本の切り傷を見て俺は瞬時に走り出した。
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森を抜けると、目前に聳え立つ船の甲板から殺戮武人の図体が覗いていた。すぐさま能力を解放し、奴と自身の位置を入れ換える。
「船長待ってー!!クソぬかるみに嵌まっちまった!!ウッゲ殺戮武人?!」
遅れて森を抜けたシャチが突如現れた奴に困惑してるが…
「…どうなってやがる」
俺だって今困惑してんだ。お前の事まで知らねぇよ。
「トラファルガー、そいつを持って帰れ。今すぐに」
ミラーは無事なんだろうな?!そう掴み掛かっていたシャチを放置し、殺戮武人の野郎が甲板に戻ってくるなり…ため息と共にそう言ってきた。
「…説明しろ」
何でこんな事になってやがる。