BOOK3
□No.26
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凄くスッキリとした目覚めだった。
二日酔いも無ければ、昨日の記憶も全部ある…私、もしかして酒豪になった?
でもそんな最高の目覚めに足りないものが一つ…
『………』
隣に、ローが居ない。
窓から覗く太陽の高さからして、まだ日の出間もない頃合いなのは間違いないはず。こんな時間にローが起きる訳無い…何処行ったんだろう?
とりあえず顔を洗う為に洗面室へ向かうと、鏡に映った私の顔にはもう“m”のマークは消えていた。効力は半日程らしい。
『はぁ…ふごッ?!』
うわナニ?!スッゲェ酒くせぇ!!
ホッと漏らした息に思わず自分自身、顔をオゲェ…
とりあえず、何度も何度も歯を磨き、次いで服を脱ぎ捨てシャワー室にピューン!!
一生懸命全身を洗えば、やっと臭いが抜けた気が…
『はぁー…』
尋常じゃ無い量飲んだもんな…そう自嘲しつつ着替えを済ませ、浴室の扉を開ける。
『ッ?!』
するとその扉のすぐ横で、ローがヌーンと立っていた…すっごい不機嫌な顔してね。
『お…おはようございます』
「…昨日は随分楽しんでたみてぇだな」
私のモーニング挨拶を無視して、そんなにユースタス屋と気が合うとは驚きだ。なんて小馬鹿にした様に鼻で笑うロー。
確かに…悪い奴じゃ無いかもって思っちゃったけど…それは言えない。言ったらバラされる。
「お前、ユースタス屋ん所に勧誘されてんだろ?」
ッ?!何でそれをローが知ってんだ?!ローが来た時にそんな話は出なかった筈…出たっけ?!
…いや、やっぱ出てないわ!!
「止めねぇよ」
私が鮮明に残ってる記憶を辿ってる中、ローが続けた言葉に私は意識を引き戻された。
「そんなにユースタス屋ん所が楽しかったなら行けば良いじゃねぇか」
…は?ちょ、無表情で何言ってくんのコイツ。
「随分あの野郎にも気に入られたみてぇだしよ」
え、本気?いやいや、ちょっと待って?!本気で…本気で言ってんの?
「…俺と居る時より、楽しそうだったしな」
…?……ははーん。なんだ…成る程ね。そう言うことですか。ローさん、ビックリさせないで下さいよ全く。
好きにしろよ。そう言ってプイッと顔を逸らしたローの正面へとまずは移動。
そしてそのご機嫌斜めな仏頂面を掴み、グイッて無理矢理私へと向き合わせた。
「いきなりなッ……」
一気に更なる不機嫌な表情を寄越してきたローの、文句を垂れるそのうるさい口を塞ぐ。
するとローはこれまた、いきなり何だよ。って感じで眉間に皺を刻んで見下ろしてきて…それでも私は無視して再度唇を寄せる。何度も、何度も。
「…………」
私が舌を差し出すと、ローも素直にそれを絡めてきた。
でも、その腕は未だ固く胸の位置で組まれたまま。