BOOK3
□No.29
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『因みに、ジギーは右ケツに双子星が有るんだよ。やっぱ兄妹なんだねッ』
ここ最近で一番どうでも良い情報だな。むしろ聞きたくねぇよそんな話。
その後もミラーは楽しそうに、ジロンギーの野郎と自分の共通点を挙げてく。
『あとね〜…あッ、フワフワモフモフは私も好き!!アイツ程変態じゃないけどねッ』
だが、最後の最後まで“緊張感が無く発言が馬鹿”な所は出なかった。どうやら自覚してねぇらしい。
「おら、見えたぞ。あれだろ」
いつの間にか兄妹の話から、ベポの体にノミが居たなんて話に切り替わっていた会話を中断させ、前方に見える小さな小屋を指す。
『何でこんな島の外れに住んでるんだろうね』
確かに…ここは島の端、中心街から距離もあり、小屋の裏手は舟がある訳でも無いのに、人工の小さな波止場の様な空間がポツンとあるだけだ。
「…とりあえず入るぞ」
確認もせずガラッと戸を引く俺の後ろで、ミラーが、非常識!!などと怒ってきた。海賊に常識も何もねぇだろ…
『もー…すいませーん。クロスロードですがー…いませんかー?』
全部で14畳程の平屋は、手前5畳程で壁と扉に仕切られている為、踏み込まなければ奥まで確認出来ないが…向こう側に人が居る気配は無い。
『なんだよあのジジィ…散々もったいぶって、まさか居ねぇの?!』
ふざけんなッ!!そう言って近くにあった木箱を、バコッ!!と蹴るお前にも、常識が備わってるとは思わねぇけど。にしてもこの違和感…
「ミラー…そこの床板、踏め」
ミラーのすぐ足元にある、一箇所だけ不自然に黒ずんだ床板を指し告げる。
ここ?と、ミラーが躊躇い無く足を差し出したその瞬間…
“ガコンッ!!”
派手に音を挙げ、この狭い部屋の隅…その一角の床が、大きく持ち上がった。
かくれんぼ
(すげー…隠し部屋ってやつ?!なんかワクワクするねッ!!)
(気を付けろよ)