BOOK3

□No.30
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探検だぁーッ!!と、そこに現れた地下への階段を楽しそうに駆け降りて行くミラーの背中を慌てて追う。だから、もう少し危機感を持て…


100段程の無駄に長い階段を降りきった先に備え付けられた扉を開けると、家屋よりも遥かに広い空間に、所狭しと様々な生物の毛皮や首、手足に骨が置かれていた。


『すっげ!!うわ?!これ海獣じゃね?!でっけぇ口!!』


見たことも無い形状の骨格を持つ生物に、俺も興味を引かれ色々観察している中、奥からあの狸ジジィが現れた。


「なんや…ヌシは来んなち言ったろうもん」


つまらん。そう言い首を鳴らすコイツは、今まで何か作業をしていたのか…身体に微量の返り血を浴びていた。何の血かは分からない。


『あッ!!勝手に上がってます!!ん?いや、降りてます?』


地下だから、降りてるで良いんだよね?散々周囲を駆け回りハシャいでいたミラーが俺の隣に躍り出る。どっちでも良いだろ。


「来るんが遅いわ馬鹿たれ。ガキまで連れてきおって…おらクロスロード、ヌシの黒寄越せ。研いじゃる」


昨日とは打って変わり、まずは牙を研ぐようだ。最後まで話の核心には触れないつもりか…


『待って、その前に…答えて下さい。私の、私達の両親の事…知ってるんですか?』


ミラーが背中の牙を抜きながら、真剣な面持ちで狸ジジィへと静かに問い掛けた。先程まで、虎だ!!ローだねッ!!なんて笑っていた奴とは思えないな。


「…ヌシ等は親を知り、どうしたいんか」


隻眼にも関わらず、睨み付ける際に放たれる威圧は凄まじい。しかしミラーも、その瞳に強い意志を宿しハッキリと言葉を発する。
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