BOOK3
□No.32
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「元気だねぇ全く…あー、別に俺は今日、仕事で来たんじゃないんでね。ほら、アレだ…な?」
な?じゃねぇよ!!何なにナニ?!コイツ本当に大将?!
「とりあえず今、お前等をどうにかするつもりはねぇよ…カキッつぁん、俺にも茶ぁ頂戴」
ダルそうにケツを掻きながら、のんびり話す青雉の要求にジイさんが、ワシの分も茶ぁ入れぇ。と私に命令してきた…コイツ等マジ何なの。
状況が飲み込めず、チラッとローに視線を送る。
するとローは盛大にため息を一つ溢し、その掌に作ったサークルを消滅させた。今やり合うつもりは無いらしい。
「姉ちゃんも、面倒な事してくれちゃったねぇ本当…」
コポコポコポーと湯飲みに新しいお茶を入れてる所で、青雉が声を掛けてきた。
「わざわざその名を名乗るこた無いでしょ」
私が恐る恐る差し出した湯飲みを、遠慮なしに受け取りながら面倒臭そうにそう呟く青雉。
その言葉の意味を考えつつ、青雉の対角線上の壁にもたれるローの隣に私は移動。
「カキッつぁん…アンタ、わざと今俺を呼びつけたね?嫌なジイさんだよ全く」
「ワシよりキサンのが詳しいやろが。ヌシが説明せぇ。ワシはオマケ付に興味無いんや」
無茶苦茶じゃないっすか…ダルそうにお茶を啜る青雉に、私はローと顔を合わせる。
「まさかあの時の赤ん坊がセンコウ達の子供で、今海賊になってたとはね」
世の中分からんな。そう呟く青雉の言葉にローもピクッと反応した。
『私の子供の頃を知ってるんですか?!』
会った事がある。そんなニュアンスを含む奴の言葉に、私は思わず声を荒げ尋ねる。
「姉ちゃん、シャラクの秘蔵っ子だろ?違うか?」
ピーピー泣いてた鼻垂れ嬢ちゃんが、随分良い女に育ったじゃない。そう答え私を見やり、奴はお茶のお代わりを要求してきた。自分でやれ。
「ちょいとぬるめで頼むよ」
黙れモジャモジャ。
『で?私の質問には、どっちが答えてくれるんすか?』
ドンッと横たわる青雉の目の前に湯飲みを置き尋ねる。昨日からオアズケ食らって、訳分かんねぇ大将まで出てきてそろそろ限界。
“ビシ”
私の質問に、横たわる青雉と椅子に座るジイさんが同時に互いを指し示す始末。
「上玉が居るって言うから、わざわざチャリこいで来たのによ…海賊姉ちゃんとは興醒めだ。カキッつぁん頼むよ」
「ヌシの方が内情知っとるやろが。ワシの仕事はもう終わった。牙研いだんや、充分やろ」
「えー…元々俺、今仕事中じゃねぇし。眠いからやだよ」
「年寄り労れ青二才が。ワシはつまらん話に興味ないんや」
尚も役目を擦り付け合う2人に、私の怒りボルテージは着々と上昇中…
お前等何?
(どっちでも良いから、さっさと答えろよッ!!)
(おーおー威勢の良い姉ちゃんだな)
(テメェはまず起き上がれ!!それが人と話す態度かトーテムポール野郎が!!)
(トーテムポールって…巧いこと言うね)
(むっきゃーッ!!ロー!!今すぐこいつバラせ!!首だけにしろ!!)
(……だりぃ)