BOOK3
□No.36
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ロー!!そんな…良いの?!ベポは?えッ?既に魚を与えてる?じゃあ本当に…全部私が?良いんだね!!凄い…幸せッ!!じゃあ遠慮無くッ…
『えへへ…いただきまぁ〜…ぐうぇッ?!』
特大サイズの骨付き肉にかじりついた瞬間、肩に激痛が走り夢から覚めた。
「起きたかよ。そんで俺の肩食うな」
いつもと見える世界が違うなぁ〜。なんて思ってたら、私は今シャチにおんぶされている様だ…そして此処は宿?いつの間に戻ったの?
一生懸命記憶を辿っている私を余所に、シャチはそのまま4階には向かわず、自分達の部屋に入って行った。
そして何故か説教開始。私正座。
「だいたいお前、飲み過ぎなんだよ!!俺がどんっだけ辛かったかッ…分かるか?!ミラー!!ちゃんと聞け!!」
クドクド煩いなぁ…とは言わなかった。更に怒られちゃう。
黙って話を聞いてるフリをしながら、体調治ってるーやったーなんて呑気に考えていると、シャチが私に背を向け、ツナギをずらしてきた。
『うげ?!どうしたの?!凄い色なってる…』
青アザのレベルを通り越して、紫色に変色してるシャチの首筋に私ドン引き。
「お前のせいでペンギンにやられたんだよ…」
遠い目で乾いた笑みを漏らすシャチに掛ける言葉が無い…何か、すいません。
『ところでローは?』
ローに抱えられた所までは覚えてる。多分一緒に戻ってる筈だと尋ねれば、首を労りながらシャチが答えた。
「何かよぉ、ベポが慌てて船長に駆け寄ったかと思えば、お前押し付けてそのまま上がって行ったんだよな」
俺もついさっき起きたから詳しくは知らねぇ。って…何だよ使え無い奴め。あッ、私のせいか…
『んーまぁ良いや。何か変に汗かいたし…私お風呂入ってくるわ』
じゃ、また後でね〜。って扉に向かった私にシャチが何か言いかけたけど…勢い良く振り返ったから、更に首を痛めたらしい。馬鹿め。
グォ…と静かに悶えるシャチを放置して、私は4階へと向かった。
『…わーおワイルド』
4階の長い廊下を歩いていると、派手に割れた窓が目に入り思わず漏れ出た声。
廊下に破片が散らばっていない事から、誰かが侵入したってよりも…誰かを追い出したって所だろう。
ベポの用事はこれの事だったのかな?じゃあもう解決したのか。
そんな事を考えながら角部屋の前まで来ると、中に人の気配が有ったため、疑う事無くローが居る呈で私は部屋に乗り込んだ。
そして後悔。