BOOK3
□No.44
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「馬鹿みてぇに抱きつきやがって…」
バタン。と、ローに担がれ向かったの先は…浴室だった。
そのまま身体に巻きつけたタオルを剥ぎ取られ、ローはシャワーのコックをひねってジャーッ。
『っぷわ、ちょ、ロー?!ぶッ』
口にお湯が入って喋りづらいわッ!!
「俺もお前の涙と鼻水で酷い。流させろ」
そう言って優雅にシャワーを浴びるロー。腰にタオルを巻いたまま…不公平だッ!!
抗議してやろうと口を開けば、直ぐ様ローが私の顔面目掛け、再度シャワーをぶっかけてきた。
『っふぉば?!ぶふぉ、ろぼッ?!』
頑張って腕を伸ばすけど…届かない!!うごッ?!鼻に入った!!
「フフッ、必死だな」
当たり前だ!!楽しそうに笑ってんじゃねぇ!!
やっと収まったお湯攻めに文句を言ってやろうと、顔を伝う水気を払っている所で、ローが先に言葉を掛けてきた。
「お前は馬鹿みてぇに笑ってりゃ良いんだよ」
馬鹿みたいって…えッ、私普段…そんな馬鹿みたいに笑ってんの?
「だがもし泣きたい時は…今日みたく、好きなだけ泣け」
ただし…そう言い、スッとローの腕が伸びてきたかと思えば…次の瞬間には、私の身体はローに強く抱き締められていた。
「ここ以外で泣くのは…許さねぇ」
程良く筋肉質な胸元と、華奢に見えるが…しっかり、男のモノだと感じさせる腕に抱き込まれ、その体温と伝わる心音に…なんだか先程とは違う涙が込み上げそうだ。
『…ん、泣く時は…真っ先にローの所に行く』
…常に居ねぇのかよ。そう何だか拗ねたように言うローに、私は思わず吹き出してしまった。
『ふははッ、そうだね!!私の定位置は、常にローの所だよッ』
可愛いなぁ全く…いつまでも肩を揺らす私に再びお湯攻めが来たのは、言うまでも無い。
『ごぼッ、ごべな!!ごぼんなざいッ』
必死に謝る私に、ローは呆れたようなため息と視線を寄越し、再び自分がシャワーを浴びだした。