BOOK4

□No.46
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見られている。それは分かっていた。


だが、ソイツの方から仕掛けてくる様な気配は無かった為、俺は特に気にも止めず放っておいたが…ペンギンの奴は、確かめねぇと気が済まねぇらしい。


『あーーッ!!』


そして踵を返すペンギンを見送った瞬間…ミラーが何か思い出したように騒ぎ出した。


『忘れてたーッ!!ヤバいヤバい、私出港出来ないッ!!』


「はぁ?」


ロー!!ちょ、街に戻るわ!!と慌ただしいミラーの肩を掴み、とりあえず無理矢理そのゆく足を留める。


「ったくお前は…」


毎回言葉が足らねぇんだよ…


「っとあー、ちょっと休憩…で?なーに忘れたってんだよ?」


抱える荷物をドスッと地面に下ろし、ダルそうに肩を回すシャチが、一足先にその疑問を尋ねる。おいおい、俺の荷物もあるんだぞ…雑に扱いやがって。


無言でシャチに非難の目を向けるも、この馬鹿は気付かねぇ。俺の口から諦めのため息が漏れた所で、ミラーが口を開いた。


『ストックボトル!!スーパー問題児が割りやがったせいで、今無いの!!敵に出くわしても私、このままじゃ戦えないッ!!』


…なんだ、そんな事かよ。


「それなら必要ねぇ。戻るぞ」


テメェで喚き散らし、俺の言葉が耳に届かぬコイツは、便箋なんか買ってる場合じゃねぇよ私!!と暴れ回り…面倒くせぇ。


だがそんなコイツの行動を何故か俺に勝り、シャチの方が必死になって止めだした。


「大丈夫ダイジョーブッ!!心配すんなミラー!!」


何やら思惑有り気なシャチが目前に迫る船の下へ、今し方担ぎなおした荷物と共にミラーを引っ張って行く。


『離しやがれシャチ!!そこら辺の適当なボトルじゃ駄目なのーッ!!』


「ダイジョーブッ、新しいストック用の器なら、ちゃんと有るんだって!!」


「…あ?」


尚も抵抗するミラーに、そうシャチがピシャリと言い放った。


なんだアイツ、俺の荷物を見たのか?まぁ、何でも良いが…たまには気が利くじゃねぇか。


「フフッ…ミラー、そう言うこった。大人しくしてろ」


ペンギンが戻り次第出港するぞ。そう船内へと行くよう促せば、ミラーはキョトンとし…そして何故だか、シャチの野郎もキョトンとしやがった。


「せ、船長?!俺の荷物見たんスか?!」


「…は?」


「ちょ、恥ずかしいじゃないッスか!!」


なんだよもぉ〜。とモジモジしだしたシャチに俺は言葉が出ねぇ…


『え、何なに?!まさか、用意してくれたの?!』


嬉しいッ!!と感動しているミラーへと向け、得意気に鼻を擦るシャチを尻目に、俺は不覚にもその場で固まってしまっていた。


「へへッ!!新しいのが欲しいって言ってたからな!!C・キッドの野郎が丁度壊してくれて良かったぜ」


「…………」


ちょっと待ってろよ〜今出してやるから。そう鼻歌混じりにで自分の荷物を漁りだしたシャチに胸を踊らせるミラーを、俺は最後まで見届ける事なく自分の荷物を抱え、1人船内へと引き上げた。
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