BOOK4
□No.50
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シーツがねぇんだ。ならばまずは洗濯室だな…そう思い、真っ先にそちらへと足を伸ばす。
熱が冷めていれば良いんだが…もしあの状態のままならば、今クルーに会わせるのは不味い。
“ツカツカツカ”
バンッ!!と勢い良く開けた洗濯室には、大量の洗濯物に悪戦苦闘するクルーしか居なかった。ハズレか…
「おッ、船長。どうしたんすか?」
無駄に泡だらけなクルーに、ミラーを見たか。そう聞いても、かぶりを振るだけだったのでそのまま黙って扉を閉める。
“ツカツカツカ”
確か以前、突然の月経にシーツを汚した際、ペンギンに染み抜きを借りたと言っていたな。
“ツカツカツカ”
今回もそうかもしれねぇ。と、その足でペンギンの部屋へと向かう。
「邪魔するぞ」
突然開け放たれた扉に顔色一つ変えず、ペンギンが俺を見やる。
「ミラー?いや、来ていない」
そして、机に向かい仕事をこなしていたペンギンの答えに思わず舌打ちが漏れた。ここじゃねぇなら何処だ…
「不味いですね」
ミラーの状況を知ってるペンギンが苦笑を溢す。俺はそれ所じゃねぇよ。
とりあえず手当たり次第に探すか…そう思い素早く踵を返す俺へ、そう言えば。とペンギンが声を掛けてきた。
「さっきクルーに聞いたんだが、ベポが何やら大きな荷物を抱えていたらしい…何でも、薄ら血痕がついたシーツでくるまれて…」
その言葉を最後まで聞く事無く、俺は甲板へ狙いを定め駆け出した。ベポと一緒ならば、昼寝しかねぇ。
「…ー…ーァァー」
…何だ?
甲板まであと少し、という所で…微かな悲鳴らしきモノが耳に付き顔をしかめる。
段々…近づいてきているのか?
「ー…ーッ…ーギャァァー!!」
ハッキリその声が確認出来る程になった頃、やっと俺も甲板の扉前へと辿り着いた。
“ゴーンッ!!”
「「いだぁぁいッ!!ッ?!」」
勢い良く扉を開けると同時、響き渡る悲痛な叫びが2つ…
頭を抱えうずくまるベポの横には、僅かにシーツの隙間から間近の騒音に苛立ち顔を覗かせ始めたミラーの姿と…そして、居る。何かが居る。
迷いこんだ珍獣
(うるさいよベポ!!)
(痛い!!何かが俺の顔面にッ?!)
(はぁ?…あれ?なにコイツ?…ぬわッ?!ロロロ、ローさん!!)
(ミラー、お前の処分は後からだ…ソイツを渡せ)