BOOK4
□No.51
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うーん、中々最悪な目覚めだ。
凄まじい衝撃音と共に響いた絶叫、そして…不機嫌MAXなローの姿。
にしても…?
『…タヌキ?』
寝そべっていた私の目の前に転がっていた物体を、起き上がって顔の位置まで抱え上げてプラーン。
ベポ曰く、空から顔面目掛け降ってきたらしいコイツもベポ同様…頭に巨大なタンコブを作り、泡を吹いて気絶していた。
…やっぱり、タヌキ?
「チッ…何だってあそこの奴が降ってきやがった」
『ん?』
ローはコイツがナニ奴か知ってる?何で?…珍獣ハンター?
ベポの叫びと衝撃音を聞き付けたクルーも、何だなんだ?!って騒ぎながら、続々と甲板へ大集合。
「…っー!!」
『お、気が付いた』
私に掲げ上げられたタヌキが、頭のタンコブを擦りながら目を覚まし、その可愛らしい瞳と私の視線が絡んでタヌキ、フリーズ。
「ギャーーッ!!」
そして絶叫、再び。
『ぎゃー?』
人みたいな鳴き声だな。って思っていた私を次の瞬間、久しぶりに味わったあの感覚が襲った。
『わーお、グランドラインではタヌキも喋るんだ』
「たッ?!俺はトナカイだ!!」
なぬトナカイッ?!そっちの方が衝撃的事実だわ!!こんな可愛らしいトナカイが居るなんて!!
「ミラー、そいつを寄越せ」
ジタバタ暴れる、自称トナカイをじっくり観察してたら、すぐ近くまで来てズイッと腕を差し出してきたローに、これでもかって勢いで見下ろされた。
『ロー、この子の事知ってんの?』
私の質問にローは盛大にため息を吐き、少しは新聞を読め。なんて怒ってらっしゃるんですけど…
この子、新聞に載るような有名トナカイなの?喋るから?ベポも載せろ。
「その珍獣は、麦わら屋ん所のペットだ」
『へ〜麦わら屋ん所のねー…麦わらー…むぎーッ?!』
呆れ気味に放つローの言葉に、今度は私が大絶叫!!
麦わらって、あの麦わらッスか?!ちょ、こんな可愛いペットが居たの?!
「俺はペットじゃねぇ!!」
“ツンツンツン!!”
「お、俺だって戦えるんだぞ?!」
“ムニムニ”
「ちゃんと俺も海賊だッ!!」
“ギュッ!!”
「お前さっきから何なんだよ?!俺の体で遊ぶなッ!!」
『ハハハッ!!可愛いーッ!!ベポの方がモフモフだけど、君も中々気持ち良いね!!ツヤツヤ!!』
流石トナカイッ!!そう誉めると、そ…そんな事ねぇ!!なんて反論しながらも、顔は超絶良い笑顔だった…分かりやすッ?!