BOOK4
□No.51
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『ねぇ君、名前なんての?私はねぇ、ミラーってんだぁ』
えへへー。と可愛いらしいトナカイちゃんを撫でていたら、ローに、馴れ合うな。なんて怒られ…手中からトナカイちゃんを乱暴に奪われてしまった。
「ここに来た目的は何だ」
プラーンと顔の高さまでつまみ上げられたトナカイちゃんは、ローに睨まれ顔面蒼白。
「船長、付近に船は見えない」
小舟すらな。そう報告するペンギンさんに目をやる事無く、ローはただただトナカイを睨む…トナカイちゃんの真下に、流れ落ちた汗で水溜まりが出来てるよ?
『ロー、そんなに凄まなくてもい「お前は黙ってろ」…はい』
ごめんねトナカイちゃん。こうなったら、私にはどうにも出来ないわ。
「偵察にでも来たのか」
その蔑んだ様なローの言葉に、トナカイちゃんは、違う!!と強く否定を表す。
「お、俺はスパイじゃねぇし、そもそも此処はどこなんだ?!」
どうやらトナカイちゃんは、現状を理解出来て無いらしい。
キョロキョロ不安そうに辺りを見回すトナカイちゃんに、ローの額には分かりやすく青筋がビキーン…
待て待て、もしや今…素晴らしくヤバい状況ってやつ?間違いなくローさん、ご立腹だよね?…バラす気か!!
流石に今バラしちゃったら、トナカイちゃんの魂は報われない!!この船を漂い続けちゃうよ?!
それは不味いと、ローを止めるべく慌てて腰を上げると同時に、いつの間にかローのすぐ横まで歩み寄っていたペンギンさんがトナカイちゃんに向かって声を掛けた。
「ここはハートの海賊団…つまりは、お前さん達の同業者って訳だ。同業者の船に無断で立ち入る…その意味が分かるよな?麦わらの一味の船医、君?」
フッと妖しくペンギンさんが微笑みかけると同時に…トナカイちゃんの魂が、ポワ〜ンと抜けて行くのが目に見えた気が…
大丈夫?
(ふッ…まさか気絶するとはな。まぁ船長、今すぐ捨てる事も無いんじゃないですか?)
(…勝手な事言ってんじゃねぇ)
(トナカイちゃーん?!起きてーッ!!魂浮遊してるから!!ホラ飲み込め!!)
(チッ…ペンギン、責任持ってお前が面倒見ろ)
(…え?)