BOOK4
□No.52
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ポイッと乱暴に投げ渡されたトナカイちゃんを、器用に受け取るペンギンさん。
嫌そうな顔をしつつも、黙って船内へと歩き出すペンギンさんの後を、私も何故か放心しているベポにパサッと手元のシーツを預け追いかける。
「お前はこっちだ」
ぎょえ?!急に腕を引っ張られて体勢が崩れ、危うく転ける所だった!!
『あっぶないなぁ?!なにす、る…あれ?』
あちゃー…ローの顔が…般若像!!
不味いッ!!と思うも、動けない私の腕を引きローは船長室までズンズンズン。
“バタンッ!!”
ローの機嫌を、そのまま表したかの様に背後で激しく音を立てて扉が閉まる…乱暴に振り離された腕が、少し寂しい。
『あの…ロー、「何故部屋を出た」っ…』
下手な言い訳したって、逆効果だよね…そう思って、今は素直にごめんなさい。
「俺が聞いてんのは、部屋を出た理由だ」
謝罪じゃねぇ。きつく睨まれそう詰め寄られる。
『ひ、久しぶりに…ベポと昼寝がしたく、て…』
ボソボソうつ向き話す私に歩み寄り、ドンッ!!とローが私の顔のすぐ横…背後の扉に勢い良く手を付いたその衝撃に、思わず肩が震えた。
「俺は何も、一生部屋から出るなと言ったんじゃねぇ…」
違うか。すぐ目の前で不機嫌な声が降ってくる…私は頷く事しか出来ない。
「お前は何故、俺が出るなと言ったその理由を考えねぇ」
扉に突き付けた方とは反対の手が伸びてきて、乱暴に顎を掴まれ、そのまま無理矢理顔を持ち上げられる。
「反論があるなら言ってみろ」
聞いてやる。少し高い位置から私を見下ろし、蔑んだ様に笑うローの視線が冷たい…
『何も…無いです』
そう言うしか無い。確かに何も考えず飛び出しちゃったし…私が悪いのは紛れもない事実だ。
でも、ローが私を部屋に閉じ込めたその真意は分からない。