BOOK4
□No.53
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ふふふ…俺は生まれ変わったんだ!!なんて言ったって、俺は要らない子じゃ無かったんだからなッ!!はっはっは!!
ハッ!!いかんいかん…要らない子にならない為にも、真面目に働かなければッ。
俺は仕事を探し、ランランルーで駆け出した。
そして辿り着いたのが…
「結構汚れてんなぁ…うげ、油漏れてるし」
様々な機械が稼働し、騒音が響き渡る機関室!!只今その清掃中。
ここは普段、中々掃除しねぇから、結構キテんな…
グリース・カップを補充して、周囲の粘ついた油を拭き取った所で、腹の虫が騒ぎだした。
そういや酒しか飲んでなかったな…まぁ、料理酒だったけどよ。
良い汗かいたしッ、そろそろ戻るかなぁ!!
――――――----
「ん〜るらら〜る〜」
気分良く鼻歌を奏ながら、ゆっくり食堂を目指していると…何やら、スレ違うクルーがソワソワ落ち着きが無かった。
何だなんだ?トナカイやら、タヌキがどうとか…?
ま、良いや。とりあえず今はメシィ!!
「ぎょわッ?!ゆッ?!…な、何だベポかよ!!脅かしやがって!!」
ガラン…と人気の無い食堂には、何故かすっぽりシーツを被ったベポが真ん中の席を陣取り、ポツンと寂しく煮干しを食べている姿が…幽霊かと思ったぜチキショーッ。
「…ベポ?どうしたんだよ、辛気くさい顔して。ってかそのシーツは何だ」
黙々と無心で煮干しを頬張るベポに声を掛けるも、反応無し…なぜ?
仕方ねぇから、俺も黙々と冷蔵庫から拝借したサンドイッチで腹を満たす。
ベポは相手してくれねぇし、飯も食ったし、俺は行こうかな…って席を立つと、食堂の扉が開く気配。
「何だシャチ、復活したのか」
その扉に顔を向けると同時に声を掛けられ、そんな汚ねぇ格好で食堂をうろつくな。ってため息混じりに、近づいて来たペンギンに怒られた。
「おいペンギンッ、ベポの奴どうしたんだよ?!」
俺の横を過ぎ去ろうとしたペンギンを引き留め小声で尋ねても、引っ付くな。って嫌な顔して、ペンギンは俺を押しやってグイー。何だよ、働いた男の汗と脂と油を煙たがるな!!
「今、珍獣が来てる…俺の部屋に居るから、お前も来い」
真水の入ったボトルとパンを一つ持って出て行こうとするペンギンに、しつこくナーナー声を掛けてると、面倒臭そうにそう言われた。
珍獣?何だ?まぁ、気になるし?暇だし!!大人しく着いて行くか。
俺等が食堂を出る時も、ベポはひたすら魂が頭上をさ迷ってた…本当に何があったんだよアイツ。
「なぁ、あの死んだ魚の目をしたベポは何だよ」
説明してくんね?そうイジけて聞いても、さあな…ってだけで、ひょっとしたらペンギンも詳しくは知らねぇのかもしれねぇ。
「…もしかしたら、嫉妬かもな」
歩きながら少し考え込んでいたペンギンが、乾いた笑みを見せながらそんな事を言う。嫉妬?何に?
よく分かんねぇ…とりあえず、珍獣って何なんだろなぁ〜。
既に関心事を別に移し、俺はペンギンの後ろをボーッと歩く。
しかし曲がり角に差し掛かった瞬間、何かが勢い良く突っ込んで来て…ペンギンの重心が後ろに下がった為、俺も激しくペンギンの後頭部に顔面を打った。