BOOK4

□No.56
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ペンギンさんが部屋を出た数分後、能面のような顔をしたシャチが、俺…仮眠とるわ…って私達をベッドから追い出した。


「お前等…俺の部屋行け。じゃあな」


そしてペンギンさんの部屋からも追い出す。仕方無いから、私はチョッパーを抱えてシャチの部屋へと向かった。


『そう言えばこの腕、チョッパーが見てくれたんでしょ?ありがとね』


ちゃんと小綺麗に整頓された部屋を見渡し、ベッドへと腰を落ち着かせ、向かいにチョコンと座るチョッパーにそう伝える。


「べッ!!別に礼なんか言われたって、嬉しくなんかねぇぞ!!」


コノヤローめ!!そう怒鳴りつつも満面の笑みで身体をクネクネさせるこの子は、恥ずかしがり屋なのか、頭の弱い子なのか…


「それより…俺、甲板に居ても良いか?サニー号を見落としたく無いんだ…」


そう言ってソワソワし始めたチョッパーを黙って見詰める。サニー号って、船の名前かな?でもそうだよね…早く戻りたいよね。大好きな仲間の元に。


『私も…早く戻りたいな』


ボソッと呟いた私の言葉に、チョッパーが、何か言ったか?そうまん丸の瞳で覗き込んできた。


『ううん…何でもないよ!!よっしゃ甲板行くかッ。小舟一隻見落とさないようにしなくちゃね!!』


そうガッチリ手を取れば、パアッと明るい笑顔で応えてくれた。今の私とチョッパーは似た境遇…何だか放っておけない!!


『早く麦わらの船見つけて、仲間を殴ってやろ!!俺を放置しやがってーって!!』


甲板へと向かう途中、声を大にしてチョッパーに言えば、それは無理!!って何やら怯えさせてしまったようだ…まぁ、私もローを殴れないけどね。能力の有無関係無しに。はは…


ーーーー---


あと少しで甲板、って時にペンギンさんと出くわした。


チョッパーはペンギンさんを見るなり、慌てて私の背後に隠れ出す…ままま、まさかッ?!既にあのデスマスクの餌食に?!


「ミラー?!…こんな所でソイツと一緒に何してる?何処へ行くつもりだ?」


ただでさえ様子がおかしいペンギンさんに、甲板で水平線を観察します。と告げれば、更に慌てた様子で必死に私達を部屋へ戻そうとグイグイグーイ…何なんだ一体?


「あれぇ?何だペンちゃーん、やっぱりやるのかよー。そういう事は早く言ってよねー?」


渋る私の背中をペンギンさんが無理矢理押し返している際に、その更に背後でそんな声が響いた。


だけど私はその声の主に振り返れない…足元のチョッパーがガタガタ震えてるし、何より…背中が冷たい。


ペンギンさんの状態を知ってか知らずか…声を掛けてきたこの強者は、私とチョッパーをヒョイッと抱え、なら早く行くぜぇ!!なんて上機嫌に歩き出す。


「な?!俺は甲板に行くんだ!!下ろせッ!!サニー号を探すんだーッ」


うわぁ、ペンギンさん…大丈夫かな?そうハラハラしている私の反対側で、チョッパーがジタバタ。


「甲板?なら丁度良いじゃんッ。今から甲板で宴だよーん。綿あめも有るぜーッ」


ニシシッ!!と笑うクルーに、綿あめ?!って目の色を変えたチョッパー…おい、仲間探しはどうなったのよ。
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