BOOK4

□No.57
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俺は今、珍しく怒ってる。


普段、ここまで怒りが持続するのも中々無い。だけど今回は凄く怒ってる…あのチビ狸め!!


俺の顔面目掛け降ってきたくせに謝罪の言葉も無しに、挙げ句の果てにはミラーにツヤツヤって誉められて、調子乗りやがって!!


あのチビ狸を連れて行くペンギンを追いかけるミラーを見て、更に頭が真っ白になっちゃったけど…煮干し食べてふて寝したら、何だか頭がスッキリして閃いたんだッ。


だから俺は今走ってるのーッ!!


「キャプテン!!双眼鏡貸して?!暗くても見えるやつ!!」


お願いッ!!って勢い良くキャプテンの部屋に飛び込んだら、キャプテンは1人ベッドで本に囲まれて横になってた。


うるせぇな…って舌打ちするキャプテン。ショック!!すいません…


しょんぼりしながらキョロキョロ室内を見渡すけど…ミラーが居ない?


「キャプテン…ミラーは?」


凄く嫌な予感がしたけど、つい聞いちゃった。俺の質問に更に機嫌を悪くしたキャプテンの様子からして、俺の考えはハズレてない…あのチビ狸!!


「キャプテン双眼鏡!!早く貸してッ!!」


お前は双眼鏡なんざ要らねぇだろ…なんてため息を吐くキャプテンに、何がなんでも見落としたくないんだ!!と頼み込めば、面倒くさそうに身体を起こして双眼鏡を貸してくれた。


絶対見付けてやる!!


息巻く俺を余所に、キャプテンはまたダルそうにベッドへと戻る。


「キャプテン、体調悪いの?」


悪いのは機嫌だけじゃない気がしてそう聞けば、キャプテンは腕で顔を覆いながら、そうだな。って素っ気なく答えた。


何か…辛そう。大丈夫かなキャプテン…心配しつつも部屋を出て、いそいそと見張り台に向かう。


途中風呂上がりのペンギンに会ったから、キャプテンの様子を話しておいた。でもペンギンは呆れて笑うだけで、心配してる素振りは無い…大丈夫って事?


…ハッ?!もしかして!!キャプテンもチビ狸にミラーを取られて寂しいのかも!!キーッあのチビ狸めッ!!


俺は更にヤル気を溢れさせ、見張り台へと急ぐ。絶っ対にアイツの船を見付けてやる!!
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