BOOK4
□No.62
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無事意識を取り戻したチョッパーは、仲間と再会の喜び分かち合う暇も無く私との関係を問い詰められた為、氷水を張った桶に浸かりながら、麦わら達に私を紹介してくれた。
「『えーッ?!』」
そして…何とか警戒を解いてくれた皆から自己紹介も兼ね、色々話を聞いてる時に知った新事実に、私とチョッパー絶叫。
「ミラーが首刈り?!2億?!嘘だろッ!!しかもハートの海賊団って…“死の外科医”の船だったのか?!」
『一味全員賞金首?!ってか50ベリーってなんだよッ?!駄菓子か!!』
ツノの先から蹄まで、全身を使って驚きを表すチョッパーを余所に、何でウチのクルーには1ベリーも懸かって無いんだーッ!!と頭を抱える私。
「俺はてっきり、首刈りは孤高な一匹狼だと思ってたぜ。まさかハートの海賊団の仲間だったとはなぁ」
長鼻…失礼、ウソップがご自慢の鼻を私に向けて驚く中、コックのサンジ君が両手にトレーを持って、ハートを飛ばしながらやって来た。
「ミラーちゅわ〜ん!!ナミすわぁ〜ん!!ロビンちゅあ〜ん!!特製オレンジシャーベットホイップ添えだよぉ〜んッ」
チャレーなぁサンジ君…ちょっと苦手かも。
テンションの高いサンジ君に苦笑しつつも、受け取ったシャーベットは目ん玉飛び出るかと思う程極旨で…すげぇ!!これこのチャラ男が作ったの?!ちょっと見る目変わったわ!!
「へ〜、お前んとこの船長もお尋ね者なのかぁ。お前もゾロよりタケェもんなー。強ぇのか?」
一瞬で手元のシャーベットを消した船長のルフィが、チョッパーとキャッキャ水の掛け合いをしながらそう尋ねる。
ナミちゃんは、当たり前でしょ?!2億よ?!なんて怒ってるし…船長に対して凄ッ…!!
『…ローは強いと思うよ。未だに本気でやってんの見た事無いけど…でも、私は別に強いって訳じゃ無いかなぁ』
ご馳走様、美味しかったー。サンジ君にお礼を述べお皿を返すと、嘘言ってんじゃないわよ!!って、ナミちゃんの矛先が今度は私に…何この人怖い。
「弱い奴が億越えなんかする訳ないでしょ!!」
『いやー…はは、ははは…』
純粋な実力値は、9千6百万で止まっちゃったしな…今の私がどれぐらいの腕なのか、自分自身が知りたいですよ。いやマジで。
『それよりナミちゃん…この船、モスキー島に向かってたりする?』
食後にパンツを…と言い出した骨だけブルックに最後まで言わせる事無くブッ飛ばしたナミちゃんに、恐る恐るそう聞けば、そうよ?アンタの船も?って聞かれ、勢い良く頭を上下にブンブンブン。
「しょーがないわね…モスキー島まで乗せてあげる」
ため息混じりに漏らしたナミちゃんの言葉に、私は目を見開き驚いた。乗せてあげるって、船長の許可は良いんすか?!
『ル…ルフィも良いって言うかな?』
またも恐る恐るそう聞くとナミちゃんは、大丈夫よ〜。と軽く笑い、ルフィに向かって、この子次の島まで乗せるわよー。なんてサラッと報告。
いや、幾らなんでもそんなアッサリ了承は「おう、いいぞ」したー!!軽過ぎじゃね?!本当に?!
「でも、妙な真似したらブッ飛ばすわよ」
アイツ等が。そう再び水遊びに夢中なルフィと、甲板の隅で寝るゾロと、ロビン姉さんにチョッカイ出すサンジ君を交互に指す。
妙な真似って…この奇抜な船員相手に、何をしたら妙な行動になるのさ…いやそれより、ナミちゃんって一体何者?…裏番長?
とりあえず大人しく頷いといた。絶対この人ただ者じゃないし。
「まぁ…ウチの船医を拾ってくれてありがとね、助かったわ」
今まで散々怒鳴り散らしてたナミちゃんも、やっと気持ちが落ち着いたのか…随分と穏やかな顔で、迷惑かけなかった?なんてニコニコ。
『凄い良い子だったよ?むしろウチのクルーに酷い目にあったかもね、ははは』
ペンギンさんのデスマスクを思い出しながら遠い目をして笑えば、そうだぞ?!って何処からともなくチョッパー出現。