BOOK4

□No.66
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“キィ…キィ…”


白み始めた空を悲しく眺めながら、弱々しくブランコを揺らす。


背中が重い。クソ腹巻きめ…余計な事してくれやがって。


『はぁ…ねぇ、どうやったら機嫌直してくれるー?』


ブスッとして背中の牙に尋ねても、答えが返ってくる訳なく…あぁ、本気で泣きたい。


私が陣取るブランコの横で、グースカ気持ち良さそうに寝るクソ腹巻きに視線を落とす。


コイツ…私が能力者じゃなきゃ、とっくの昔にぶん殴ってるぞ!!


結局アイツと何度刃を交えても、この子の機嫌が戻る事は無かった。


やっぱり刈らなきゃ無理か…仕舞いには、手を抜くのダリィ。ってクソ腹巻きは寝始めるし…もうそのまま芝の一部になれば良いのに…


あーッ、どうすっかなぁ!!と頭を抱えていると、居ないと思ったら…何やってんのよ。なんて呆れ返った声が響いた。


『あッ、ナミちゃんおはよ』


おはよ、じゃないわよ!!と、ナミちゃんは拳を高く振り上げたが…私の能力を思い出したらしく、プルプル収まる場を失った拳を、そのままゾロの頭にゴチーンッ。ナミちゃん…ナイスッ!!


「うご?!ってめ?!いきなり何しやがる!!」


痛みに目を覚ましたゾロが怒鳴るも、直ぐ様ナミちゃんのデスマスクが向けられたため、あの野郎は怯んでた。プッ、ざまぁみろ!!


ニヤニヤその様子を眺めていると、それよりミラー!!って私の方に、ナミちゃんがそのデスマスクを向けてくるから…今度は私の背筋が伸びるハメに。


「勝手に部屋抜け出して!!だいたい、アンタに何か有ったら困るのは私達なのよ?!アンタん所の船長に何されるか分からないじゃない!!」


迷惑考えなさいよ?!凄い剣幕でそう怒鳴るナミちゃんに、最早何も言えません…


本当はそこのクソ腹巻きのせいだけど…言い訳したら、何か大切な物を無くす気がする。うん、止めとこう。


その後もガミザミ怒るナミちゃんの説教に大人しく相槌を打っていると、視界の端に何かが写り込んだ。なんだ?


その背後…ちょっとだけナミちゃんから目を離したら、更に声を荒げられてしまったので、慌てて視線をナミちゃんに戻す。


でもその一瞬確認した水平線に見えたのは、遠くても大きいと分かる船。


海賊船かなぁ。なんて呑気に考えながらナミちゃんに声を掛ける。


『ねーねぇナミちゃん、向こうからふ「ちょっと黙ってなさい!!」え…でも…』


アンタ少しは真面目に聞きなさい!!って、ナミちゃんまさかのヒートアップ。船…良いのかな。


ありゃ相当デカイ船だよなぁ。大丈夫なのかな?ちゃんと確認した方が…


『ね、ねぇナミちゃん?船が「もう!!船が何よ!!ちゃんと無事帰してあげるって言ってんでしょ?!」う…うん』


ぜ…全然聞いてもらえねぇ!!私知らないよ?!もうどうなっても放置するからね!!
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