BOOK4

□No.72
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「ミラーッ、船長がアイツ等から貰ったの、何か知ってるか?」


サングラス越しでも分かるぐらい目を輝かせてワクワクするシャチにかぶりを振れば、ジトーッて向けられた非難の目…何で?


「お前もあの時一緒に行ってたくせに、ソレ知らねぇのかよ。つまんねぇな」


いやそんな事言われても…理不尽すぎね?


『だって私が服取りに行ってる間に、ローの用事は終わってたんだもん』


私もローに聞いたけど、全然教えてくれなかった…そう不貞腐れる私に、今度はペンギンさんの疑問が飛ぶ。


「船長とは、ちゃんともう仲直り出来たのか?」


そもそも本当に喧嘩してたのか?そう質問を被せてきたシャチを放置して、ペンギンさんに笑みを向ける。


『ナミちゃ…麦わら一味の船を出た後、2人でこの船に戻る時…一応仲直りは出来ました』


(もう俺の許可無しに、勝手に拐われるな)


強い口調と共に難しい注文を寄越して、辛そうに顔を歪めたローを思い出したら…何だか気恥ずかしくなり、私はグビッと酒を煽った。


でもまだちゃんと話は出来て無いんだよな…最後のあれって、どういう意味だったんだろ?


(言いてぇ事も聞きてぇ事もまだ有るが…夜まで自由をやる。ハシャギ過ぎるなよ…)


そう言って無理矢理話を終わらされたんだよね。仲直り…出来たのは良いんだけどさ。


あの笑顔は何か企んでいる時の顔…尋常じゃ無い程機嫌良かったし。何か恐いなぁ…


「そうか…船長も今回の事は大分堪えただろう。また大変になるだろうが、よろしく頼むよ」


考え込む私に苦笑を漏らしながら、物足りなさ気に酒を飲むペンギンさんを、ドンッ!!と押しやって、既に出来上がってる様なシャチが私に詰め寄る。


「それよりミラー、もうあの服着ねぇの?一緒に踊ってやるよ?」


踊りたかったんだろ?そう言ってヤル気満々に腕捲りをするシャチに、踊らねぇよ。って2度目となる否定の意思を言い放つ。


『だいたい私、あんなヒラヒラ苦手なのよね。動きづらいじゃん?それに今までお腹出すなんて考えられなかったし』


初めてかもな〜。と過去を思い起こしてたらシャチが、何でだ?お前腹弱いっけ?なんて的外れにも程がある発言をするから、冷めた視線を送っといてやった。


「お前少しは…周りに害を与えねぇ生き方をしろ!!」


ガンッとシャチの頭に拳を降り下ろすペンギンさんのツナギに、大陸地図みたいなお酒の染みが…うん、これはシャチが悪い。


「ったく…で?その理由は、ジロンギーの野郎か?」


パッパッとツナギを払いながら問い掛けてきたペンギンさんに、私は首を縦に振る。


『昔…まだ海に嫌われて無い頃から、泳ぐ時はTシャツ短パン着用だったんですよ?一回邪魔臭くて水着で泳いだら、3時間説教くらいました』


ブスッと頬を膨らませて拗ねる私を余所にシャチが、そう言やさー。なんて話題チェンジ。この野郎…


「兄貴に手紙、届いたかな?」


いつ返事来ると思う?そうソワソワ落ち着かないシャチ。こいつ…本当ジギーの事好きだなぁ。


「その内届くだろ…おらシャチ、お前今日は飲め。記憶が消滅する程飲め」


「ふごッ?!」


頭上で私達を照らす月を眺めつつ、ペンギンさんがシャチの口に酒瓶を突っ込む…ぺ、ペンギンさん?シャチが…
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