BOOK4

□No.74
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『ルフィ達にお別れ言えないままだったけど…私行くね!!本当に色々ありがとう!!』


また絶対会えるよ私達!!そう最高の笑顔を向けてくれたミラーに胸が痛く、そして暖かくなった。


「…ミラーが世話になったな」


自船に戻る手段の小舟に乗り込む際、ぶっきらぼうにそう言われ思わず唖然…コイツもそんな事言えるんだ。


オールを投げ渡されて不機嫌だったミラーも、心配かけたのは誰だ。って言葉に渋々小舟を進める。この2人、本当に喧嘩してたの?


『またねナミちゃーん!!皆にもよろしくーッ』


負けじと私も大きく手を振り、そして段々と遠ざかる船を見送りながら、ホッと胸を撫で下ろすと同時に…必死に、この胸に空いた穴に気付かないフリした。


「ふふふ、なんだか一気に静かになっちゃったわね」


「ロビン…そうね」


私の横に並ぶロビンから、寂しい?と微笑みながら寄越されたその質問に曖昧に頷く。


「でも諦めるわ…あ〜あ、高く売り付けてやろうと思ったのに」


あの海楼石。そう大袈裟に肩を落とす私を、ロビンは楽しそうに笑って水平線を眺めてる。


本当はミラーが居なくなったのは寂しい…けど、私達は互いに違う道を進む海賊同士。傷心に浸ってなんかいられないわ。


「あの船長さんに、本当の事は言わなかったのね」


私もそうしたでしょうけど。そう柵に肘を付けゆったりするロビン。


「本当の事を話せばきっと今頃…この島自体、原形を留めてないわよ。あんな恐ろしい奴が居るなんて…」


あぁー。と空を仰いで、完璧に綺麗な弧を描く水平線を確認し、広がる海に背を向けた。


「でも助かったわロビン。2回も助けられちゃった」


ミラーの船で、柵の上で項垂れるチョッパーをミニメリー目掛け投げ飛ばしてくれたのも、ペンギン帽子のアイツの攻撃を防いだのもロビン…


「あら、でもあの船長さんが大人しく引いてくれたのはナミのお陰よ」


まさか海楼石なんかが欲しいなんてね…そう言うロビンと笑い合う。本当変な子…


「サンジ君とチョッパーは、相変わらず?」


その質問にロビンは肯定的に笑って髪を掻き上げる。チョッパーはまだしも…サンジ君の奴、そんなに強く殴ってないじゃない。


「ルフィ達が戻ってきても、チョッパーがあの状態なら何も出来ないわね」


可哀想だわ。そう笑うロビンの言葉に私は頭を抱えた…その問題を忘れてたわ…


「全く…何でウチの船にはロクな奴が居ないのよ!!」


チョッパーを叩き起こすべく、私はドカドカ歩き出した。


そう言えば、あの船長も外科医なんだっけ?医者で船長で化け物で…ミラーもとんでもない男に惚れてんのね。しかもあの独占欲の塊…苦労してそうだわぁ…


私は乾いた笑いを漏らし、開けた扉の先で死んでるチョッパーを叩き起こした。


「ぬわ?!ナ、ナミ?!はれ?俺…」


「チョッパー今すぐ例の薬完成させて?そろそろアイツ等帰ってくるから」


へ?と現状が理解出来ずボーッと放心したままのチョッパーを、お願いよ!!って無理矢理医務室にブチ込んで、私は一旦自室に戻る。


(何故あんな服を着せた)


全く…遠慮無しに睨み付けてきちゃってさ。可愛いミラーに内心デレてたくせに。そんなに他の野郎に見せたくないってか!!


(海に落ちただと?!)


ふんッ、あの残虐な男も一応人間らしいあんな顔も出来るのね。凄い勢いで狼狽えちゃってさ!!


バンッと勢い良く踏み込んだ部屋の奥にある金庫を見やりため息…あの船長さえ大人しくしとけば、きっと3億はくだらないブツだったのに…


(礼は言わねぇ。だが…仮は返す)


次会ったら絶対金ブン取ってやるんだから!!


そう息巻いて、私は海楼石の錠を入れるため移動させたお宝を再び金庫に戻した。
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