BOOK4

□No.1
1ページ/2ページ



“スピー…スピー……バチンッ!!”


んはッ!!へッ?!うッ?!ほッ?!


…あぁ、また鼻ちょうちんか。いい加減鼻ちょうちんが割れて目覚める癖、直したいなぁ…


ムクッと身体を起こして辺りを見回せば、夜が明け始めた中で、皆はまだ寝てるみたい。


そう言えば俺も昨日、ペンギンと夜釣りしてる途中で、全然釣れないから飽きてそのまま寝ちゃったんだっけ。


夜釣りなんて、全然楽しくないじゃん。ペンギンの嘘つき。


「もぉーいい加減俺風呂入って寝てんだけどー。なぁペンギン、もう良いと思うか?!」


それにしても皆、見事に甲板で寝ちゃったんだなぁ〜。って目を擦りながら、狭く感じるこの場を見てたら、そんな声が響いた。


声の方に顔を向けると、そこには何故かゲッソリしたクルーの姿が。


「あぁ…そろそろ大丈夫なんじゃないか…俺も眠い」


その横には力無く項垂れるペンギン。何か、ヤツレてる?


「ペンギンおは…って、どうしたの?!酷いクマだよ?!」


ピョンピョン邪魔なクルーを飛び越えてペンギンの元まで行くと、顔を上げたペンギンの目元が…オバケみたい!!


「あぁ、ベポ…俺は寝る。この場は任せたぞ」


そう言ってフラフラの足取りでペンギンは船内に歩いて行く。大丈夫かなぁ…それにしても、何であんなに憔悴してんだろう?


…ハッ!!待って待って?!今然り気無く、スゲー面倒な役押し付けられた!!


この場は任せたって…つまり、起きた酒臭い皆の世話をしろって事でしょ?やだなぁ…


起きなきゃ良かった…そんな後悔をしながら、とりあえず俺は散らかった甲板の片付けから始めた。


チャッチャと片付けて、皆追い出して、お昼になったらミラーと昼寝しよ。


暑すぎず寒すぎない、丁度良い風を感じながら今日の予定を立ててたら、コロン。ってさっきペンギンが居た位置から、何かが柵の方に転がって…


うわッ?!不味いあれエターナルポース!!落ちる落ちる!!ギャー!!


甲板に横たわるクルーを気にする余裕も無く、慌てて皆を豪快に踏みつけながらウルトラスライディング!!


うごッ?!ぐうぇ!!って謎の奇声が聞こえたけど、そんなの知らない!!


今にも柵の隙間から海にダイブしようとしてるソレを、何とかギリギリの所でスーパーキャッチ!!


ふぅ…


「べ、ベポ…随分パンチ効いた起こし方してくれんじゃねぇか…」


危なかったぁ…って安堵する俺の背後から、冷た〜いダイヤモンドダストが…


「て…てへッ?」


ソロ〜って恐る恐る視線を向けると…俺が駆けて来た直線上で寝てたクルーが、スゲェ怖い顔して俺を見てたから、とりあえず笑っといた。


「ベポォ…かぁくごじゃぁぁ!!」


「ギャー!!ごめんなさーいッ」


目を吊り上げて俺に突っ込んで来る皆を避けるため、バッと両腕で顔をガード!!


あれ?今、チラッと見えたエターナラポースの指針が…


「お前よくも思いきり腹踏んづけてくれたな?!お陰で喉まで何かが上がってきたわ!!」


「オイ俺の腕、痣になってんじゃねぇかよ!!」


「ギャー待っ、待って皆!!大変大変!!」


「大変なのは俺の顔面ッ。鼻血出たじゃねぇかボケ!!」


いっ痛い!!毛を引っ張るな!!禿げちゃうから、禿げちゃうからやめてー!!


「っもー!!離れろー!!だいたい皆が邪魔な位置で寝てるのがいけないんだろ?!俺はペンギンにこの場を任されたの!!」


文句あるならペンギンに言って!!


フシャーッ!!って威嚇しながら皆を振り撒くと、やっと大人しくなってくれた。全く!!


俺だって大事な毛をむしられたら怒るよ!!プンスカプンだよ!!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ