BOOK4

□No.3
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ローの野郎…朝っぱらからあんなに激しくしなくたって良いじゃん…


「おら、飯行くぞ」


早く準備しろ。涼しい顔で服を寄越すコイツにボソッと、鬼畜。なんて呟けば、この男は楽しそうに口元歪めて私を見下ろしてきやがる。


「なら…もうシねぇか?」


淡々と袖を通しながら、残念だ。だってさ…不機嫌な調子でサラッと述べるこの男は、本当に悪の化身な気がしてきた。


『私の答え…分かってるくせに』


ブスッとむくれて、私も乱雑に撒かれた服を手に取り着替えだすと、満足そうな顔をしたローの温かい手が頭に伸びてきた。


「散々我慢したんだ…それぐらい許せ」


優しく撫で付けていた手が後頭部に回り、そのままグイッと引き寄せられる。


私達が無事再会を果たしてから、心なしかローがキスを求める回数が増えたような…まぁ、私としては、素直に甘えてくれるのが嬉しかったりするけどさ。へへへッ。


何笑ってんだよ…って若干拗ねるローも可愛いなぁ。なんて思いながらベッドを降りれば、こ、こ、腰が…


「ババァみてぇになってんぞ」


黙れ誰のせいだ。笑ってんじゃねぇよ。


『はぁ…ご飯行くんでしょ?早く行こう。もうお腹ペコペコ』


ズンッと重い腰を労りながら扉に向かいだした私の腕をローがとる。


何だ?と顔だけ後ろを見やれば、ガシャンッ。て派手な音と共に、腕にまとう重圧が消えた。


「次の島で、どうにか出来れば良いがな」


このままだと不便だ。そうボヤきながらローが丁寧に引き出しに仕舞ったのは、あの海楼石の錠。


『そうだね、加工しなきゃ!!どんな形にしようかなぁ〜。やっぱ腕輪とか?あ、ピアスって手もあるな』


指輪でも良いかも。無くす心配なくて。


私が悠長にそんな事考えてると、それは無理だ。って呆れ気味に言い残して部屋を出るロー。


慌ててその背中を追い、無理って何が?って尋ねた私に降り注ぐまさかの答え…


『えッ、そうなの?!』


「最初からそう言ってただろう」


忘れたのか。そうため息を漏らすローを見て、以前交わした約束を思い出す…


(これからも首刈りでいさせてやるが…俺が側に居る時だけだ)


うん、完璧に忘れてたわ。肌身離さず海楼石持ってる気満々だったよ。


あ、でもそれじゃあ…


「だが…万が一、俺が側に居ねぇ場合の事も考えてだ。そうだな…作れて3人分ってとこか」


ダメ、それじゃ駄目だ。って頭を振る私にローがそう続けた。


「牙の件が無けりゃあ、普段お前に海楼石を渡すなんざしねぇがな」


せっかくお前が能力者としての自分と向き合うようになったのによ。そう呟いてプイッと視線を逸らし、スタスタ歩き出したローはあの時…ナミちゃんに預けた牙を手にした瞬間、凄い恐い顔して固まってた。


ローも多少この子の機嫌が分かるらしい。確か、ペンギンさんも分かるんだよなー。


でも能力者としての自分かぁ…確かに、私も大分この身体に慣れてきちゃった面もあるし…それに、首刈りって事には拘らないって、あの日決めたし!!


(私はもう迷わないよ)


これからはこの子の機嫌を戻す為に、首刈りに戻ろう…それに、私には“アレ”があるし!!


よし!!とローの言い分に納得しつつ、一つだけ私からお願いをした。
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