BOOK4

□No.8
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船長は咄嗟に足元の猫を相手にブン投げて、飛んで来る銃弾とシャンブルズ。


「ンニャッ?!」


勢い良くミラーの胸にダイブした猫が、超困惑顔。


一方、銃弾は放たれた方向へと進路を変えて、再びあの野郎の元にただいまー。これこそ自業自得ってヤツだな。


「チッ…シャチ」


殺れ。そう命令されるより早く、既に俺は駆け出していた。だって俺、ちゃんとさっき忠告したもんな!!大人しく退かねぇ奴が悪いッ。


──────----


やっぱ戦意喪失してる奴等相手に暴れても、つまんねぇよー…まぁ、楽っちゃ楽なんだけどさ。


俺は一瞬で片付いた仕事に、手元のジャックナイフを伝う血を拭いながら大きくため息。


終わりましたよー。って船長達に向き直れば、なんか…んー?2人の様子、変じゃね?


「どうしたんスか〜ってミラー?どうし…え、どうしたんだソレ」


苦々しく口元を歪める船長の横で、座り込んだままジッと自身の右手を見つめて放心するミラー。


俺もその背後に回り込んで、ミラーが見つめる掌を確認して、頭に“?”。


「猫に引っ掻かれたのか?」


あ、それなら怪我すんのは猫の方か。なんて思い直して、再度視線をその掌に戻す。


ミラーがただ呆然と、そして俺が首を捻りながら眺める掌には、人差し指から手首辺りまで伸びる、一本の傷。


それは軽く血が滲む程度で、そんなに深くはねぇようだ。


「ミラー?おい大丈夫か?ミラー?ミラーさーん?」


相変わらず難しい顔して固まってるミラーの頬をつつくも、コイツは無反応…何なに?なんで?


「そろそろ不味いとは思ってたが…限界だったか」


そう眉間に皺を寄せる船長。


そんで船長は厳しい顔つきのまま、ミラーの横に無造作に置かれてた牙を手に取った瞬間…驚いた様に目を見開いて、そのまま固まっちまった。


「船長?」


どしたの?


『…ロー…何か、知ってんの?』


「………」


弱々しく尋ねるミラーに船長は何も答えないまま、ソッとアイツの背中に牙を納めだす。俺…ここに居ても良いの?


『プーイ…って、されちゃった』


ははは…って泣きそうな顔で笑うミラー…やべぇ全然話に付いてけねぇ!!でも何かスゲェ重大な問題って事は、かろうじて分かるぞ?!でもナニッ?!


「…シャチ、仕事だ」


空気は重いし話分かんねぇし、ミラーは悲しそうだしもうヤダッ!!って頭抱えてる俺に、船長が声を放ってきた。


「海賊だろうが山賊だろうが、海軍だろうが何でも良い…今この島にどれだけ居るか、ひとっ走り調べて来い」


へ?それってつまりは…


「殺っても問題ねぇ奴等って事ッスか?」


俺の質問に船長は一言、そうだ。って言って更に注文を追加。


「確認だけだ。お前は手を出すな…仕方ねぇ場合は、動けねぇ程度で留めとけ」


粗方調べ尽くしたら帰って来い。とだけ言ってミラーを立たせた船長の考える事なんざ理解出来ねぇけど…


「俺、今絶好調なんスよね。夜までには帰りますよ」


じゃあミラー、俺の荷物頼むわ!!駆け出す瞬間それだけ言って、俺は危ない臭いがしそうな方向を目指した。


俺が使うのは頭じゃねぇ。



身体だ



(んー…多分コッチ!!)

(ミラー…大丈夫か)

(ん…)
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