BOOK5

□No.12
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その後ババァに解毒方を聞き、未だ馬鹿笑いを続けるミラーを引っ張り、俺等は再び船へと歩みを進めた。


解毒に必要なブツを、道端でもぎ取って…


『いや〜笑ったわ!!まさか、ま…股が痒くなるて!!』


ぶししッ!!と吹き出すミラー。きたねぇな。


『でも私達、食べなくて本当良かったね!!』


手元のブツを袋の空いたスペースに収める俺の隣で、危なかったぁ。と漏らすミラー。


その空いた手で、俺の知らない間に取ったらしい猫じゃらしを弄ぶコイツに声を投げ掛ける。


「残念の間違いだろ。まだ少し残りが有ると言ったな…」


バッと俺に顔を向けたミラーが、そのままアホ面で固まる。その瞳に写り来んだ俺の顔は、妖しく口元が歪んでいた。


『ぜ、絶対いや!!ロー、アレがしたいだけでしょ?!無理無理ぜーったい、イ・ヤ!!』


勢い良く俺から距離を取ろうとしたミラーの腕を取りそれを防ぐ。コイツの握った猫じゃらしが俺の腕を撫でムズ痒い。


「案外良いかもしれねぇぞ」


条件反射で起きた腕の鳥肌に目を向けながらそう言うも、ミラーは激しく抵抗を続ける。


『いや!!私はローの手が一番良いのッ』


そう叫んだ後、しまった!!と言った感じに慌てだすミラーに、今度は俺が固まっちまった。


「フフッ…なら、今夜はその期待に答えてやるよ」


えッ?!ちょま、ローさん?!そう焦るミラーを引く俺の顔は多分、とてもじゃねぇがクルーに見せられるもんじゃねぇだろう。


『海楼石無いよ?!本当に?!嘘でしょ!!』


さっきのは言葉の綾なのー!!なんてコイツはいつまでも抵抗してるが…海楼石なんざ無くてもヤれんじゃねぇか。


「海楼石がねぇ最後の夜だ…お前も堪能しといた方が良いだろ」


その言葉にコイツの蹴りが繰り出されたが、俺は何も感じねぇ。残念だな。


『…………れたら良いよ』


痛え…と涙目になっていたミラーがブツブツ文句を言ってたかと思えば、ボソッと何かを呟いた。


「あぁ?何か言ったか」


その言葉をよく拾えなかったため聞き直せば、フンッ!!と鼻で笑い、コイツは再び言葉を寄越してきた。


『私の好きな所、3つ言ってくれたら良いよッ』


言えるもんならな!!そう馬鹿にした様に笑うコイツに、3つもねぇよ。と直ぐ様ハッキリ言い放つ。


『ねッ?!言わねんじゃなくて、ねぇの?!しかも即答?!少しは考えろよ!!タップリ10秒は考えろ、考えるフリをしろ!!』


コンチクショー!!と地団駄踏むミラーに眉を寄せ笑い、グイッと引き寄せ耳元でその真意を告げる。


「お前は…この世に3人も居ねぇだろ?」


たっぷり10秒かけその言葉の意味を考えていたミラーは、派手に狼狽え顔を真っ赤に染めた。



“君の全て”が答え



(解毒方はねぇのか)

(ふひ、ふひひッ、腹痛い!!)

(か〜んたんだぁ。そこら辺生えてる猫じゃらし持ってけぇ)

(猫じゃらしだと?)

(それで大事な所、こしょこしょ〜っとすりゃ治るからよぉ)

(………)

(こしょ?!ブハハハハッ?!嘘でしょ?!フヒッ、無理限界!!)
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