BOOK5

□No.13
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ガヤガヤ賑わいを見せる店内を、その明るい光が漏れる窓からコッソリヒッソリ覗き見る。


「ん〜…ビンゴッ」


きたねぇ界隈に並ぶ小さな酒場の一角に、標的発見!!俺意外に鼻が利くのかも!!


えっと、とりあえずこの場に居る人数はっと…2、4、ろ…チッ。


3、6、10、14……あれ?


1、5……おろ?4、6、きゅってオイ動き回んなよ!!数えらんねぇだろ?!


「そういや〜今幹部の席、一つ空いてんだろ?」


「おー、なんかモスキー島に“アレ”売りに行ったイディオットの船が、戻んねぇまま音信不通らしい」


「じゃあ、俺等にもチャンスが有るって事じゃね?!」


14、17…ん?モスキー島?戻んねぇ?


「イディオットの野郎もザマァねぇな!!よっしゃ、あの野郎の椅子は俺等モブ海賊団が頂くぞ!!」


いえーいッ!!と一斉に高らか手に持つジョッキを掲げるコイツ等は、船長がオブジェにしたあの船と繋がりがあるらしい。


幹部って事は、更に上の組織があんのか?随分面倒くせぇ奴等だな。


ハッ、いかんいかん。え〜と、2、4、7……っだぁーまた分かんなくなっちまった!!


くそぅ…また1からだ…って目をギラつかせてると、店内から扉に向かって歩いてく千鳥足が見えた。


「ん?お前何処行くんだー?」


へへへ〜、ションベンっす〜。そう既にヘロヘロな背中が外に出て行く。


つまりは今、俺と同じ空間に居る訳で。アイツはこの海賊団の一人で、しかもヘロヘロで…


どうせ船長、この島に居る俺等の敵に当たる奴等は皆潰す気なんだし、ちょーっとぐらい無茶したって…良いよな?


(確認だけだ)


…うん。確認だけね。


「ん〜んん〜次は祝い酒だな〜んん〜」


店の裏手にある雑木林の手前で、ご機嫌に鼻歌奏でながら立ちションかましてる野郎に気配を消して忍び寄る。


「んん〜んッ、と…ひゃ〜スッキリ〜」


よいしょー。とずり下げてたズボンを上げきった野郎が振り返ると同時に、音もなく背後に居た俺にギャービックリ。


「ぬぉ?!だだだ誰でい?!」


「ん、質問は後ね」


おやすみ。そうニマッと笑って、俺はこのヘロヘロ野郎の顔面にパンチをブチ込んだ。


──────----


「ここまで来りゃ良いか」


あの酒場から漏れる光が僅かに確認出来る程まで雑木林を進んだ頃、担いでいたヘロヘロ野郎を樹の幹にもたれさせる。


「おーい起きろぉ」


完璧伸びてるコイツの頬っぺをペチペチ叩けば、やっと薄ら目を開けだした。


「ッ?!な?!だ、誰だお前?!なんどぅぼ」


目を覚ますなり騒ぎだしたヘロヘロ野郎の口を、慌てて塞いで指でシーッ!!


「ちょっと聞きてぇ事があってよ。教えてくれりゃすぐ帰すからさッ」


なッ!!って笑って言う俺にコイツ、ぽかーん。


「お前等海賊なんだろ?何人居んの?」


「んふ、んひふ!!」


あぁ、わり。口塞いだまんまじゃ、流石に喋れねぇわな。


「っぷあ!!お前誰だ?!俺等に何のよぼばぁ」


解放するなりまた騒ぎだしたコイツの口を再度塞ぐ。んー…もしかしてこの作戦、失敗?
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