BOOK5
□No.15
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最悪だ俺はもう生きていけない。
海賊になって今まで、俺は色々経験して来た。普通じゃ味わえない様な体験もイッパイ有ったけど…
(自分でしろ。俺はごめんだ)
自分で…自分で自分のお股に、猫じゃらしモショモショしたのは今日が初めてだ!!んがーッ屈辱!!
しかもペンギンだけじゃなくて、キャプテンにも俺のお股見られちゃったし…恥ずかしい…
何とかミラーに見られるのは阻止出来たけど、ミラーも俺の状況知ってるみたいだったし…泣きたい…
でも治って良かった…本当に痒くてヒリヒリして、一生このままだったらってヒヤヒヤしたよ。
「はぁ…悲しい」
一人部屋に籠って沈んでたら、いきなり、バンッ!!って勢い良く扉が開いて、飛び込んで来たのはハイテンションなシャチ…な、何だよ!!俺は今殻に籠ってたいのに!!
「ベポ!!いつまでズーンッてなってんだよ?!」
オラ甲板行くぞ!!って無理矢理俺を引っ張るシャチは、スゲー機嫌が良い。迷惑なぐらいに。
「股痒くなったぐれぇで落ち込むな!!」
グェッ!!そ、そんな俺の傷をえぐんなくったって良いじゃんか!!ってか何でシャチまで知ってるの?!最悪だ!!
「世の中それ以上に悲惨な体験なんて、星の数程あるんだぞ?!」
え、星の数……?
「俺だって今まで色々あった…けどちゃんと、今は笑ってられるぜ?」
だから元気だせって!!そう言って慰めてくれるシャチを見てたら…あれ、おかしいな?少し立ち直ってきたかも…
そうだよね。恥の塊みたいなシャチがこんなに堂々と生きてるんだ…俺も頑張ろう!!
ありがとう…ボソッと呟いた俺の言葉に鼻歌を漏らしながら甲板に向かって歩いてたシャチは、気にすんな!!って笑い飛ばしてくれた。
シャチ…俺、俺シャチの事大好きだ!!今度昼寝する時、俺の腹貸してやろ!!
「お前が食ってなかったら、確実に俺がアレ食わされてたし!!いや〜マジ助かったわ!!」
「………」
礼言うの俺の方だって!!そう派手に笑って俺の肩をバシバシ叩くシャチに、2度と腹貸してやるもんか。ってさっきまでの考えを改めた。
「お前が拗ねてる間にミラーが兄貴からの手紙、読んでくれてたんだぞ?」
勿体ねぇ事したな〜お前。ってブツブツ言ってるけど、正直そこまで残念じゃない。
どうせ俺にはまた気持ち悪い変な事ばっかり書いてあったんだろうし。
「アイツ、元気っぽかった?」
「ん?兄貴か?元気元気、バリバリ暴れてるってよ!!」
流石兄貴だなぁ。ってニヤニヤするシャチのその言葉だけで、俺もう満足。お腹イッパイ。
そんな会話を交わしながら辿り着いた甲板からは、スゲー良い匂いが立ち込めてた。
「お、ベポー。お前今まで何処居たんだよ?ホラッ、お前の分」
出迎えてくれたクルー達は、俺の失態は知らないみたいで、ちょっとホッ…と、したのも一瞬。
「要らない!!俺大丈夫!!」
俺の分って言って渡された今日のご飯に、俺は慌てて逃げ出した。
俺…当分魚は要らない!!
「何だどうしたんだよー?お前の為に、一番でかいの残しておいたんだぞー?」
ぎゃー!!追い掛けて来るなー!!要らないって言ってるだろ?!
「ふふッ…調子はどうだ?」
もう治ったのか?逃げ惑う俺を捕まえたペンギンが、クルーを追い払ってそう聞いてきた。助かったよぉ…
でも、ペンギンの手つきがちょっと変だよ?なにその猫をじゃらす様な怪しい手つき…イヤガラセ?
「…うん。もう平気。でも、ペンギンも知ってるのか…」
ガクッと項垂れる俺に、さっきミラーがこっそり教えてくれたよ。って笑って告げられて、またガックリ。
「安心しろ。俺とシャチしか知らない」
ミラー言いふらしちゃ駄目だよ…って思ってたけど、2人にだけだったんだね!!ちょっと安心。