BOOK5

□No.23
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「なぁオイッ!!猫居たか、居たか?!」


とりあえず宛も無く、がむしゃらに通路を駆けて会う奴会う奴に現状を聞きまくったけど…皆未だに収穫0。


「くそぅ…こうなりゃ全面戦争だ!!オイッ、全員食堂に集めろ!!見張りしてる奴等もとにかく全員だぞ!?一人残らず連れて来ーいッ」


無理矢理俺に腕を引かれ、本当に猫居るのー?って疑い気味たったベポにそう言いつけて、俺も皆を呼び集める為走り出した。


──────────ーーーー


「どうしたんだよシャチ。早く猫探さねぇといけねんじゃねーの?」


「猫?なんだよ猫って」


「なんか今船内に猫が紛れ込んでるらしいッスよ」


は?なんで?と、ガヤガヤ騒がしくなってきた食堂。


そしてベポが、これで揃ったよー。って最後の一人を連れて来たのを合図に、俺は椅子の上に立ち上がった。ちゃんと靴を脱いでな!!


「皆!!時間がねぇ、ここは全員で力合わせてキャット大捜索に取り掛かるぞ!!」


ドンッ!!と構えて声を上げれば、一瞬の静寂の後湧き上がった笑いとブーイング…え、なんで?!


「はははッ!!お前柄にもねぇ事するなよ!!笑っちまうじゃねーか!!」


「だから探してただろ!!お前に中断されて此処に居るんだよ!!」


なんか策でも有るんだろうなぁ!!ってブーブーブーブーガハガハガハガハ…ま、負けねーぞ?!こんな事で挫けてたまるか!!俺の命が懸かってんだ!!


「聞いてくれ!!無闇矢鱈に探して見つかんねんだから、とりあえず全員で捜索する場所分担しようぜ!!」


お前等は浴場、お前等は皆の部屋、お前等は書庫、お前等は、って…なんで皆ポカーンとしてんだ?


「お…お前本当に…あのシャチか?シャチが…シャチが戦略練ってるだと?!」


やべぇ嵐が来るぞ!!…じゃねーよ!!皆酷くね?!いくら俺でもこれぐらいの事毎回考えてるっつーの!!


「っだーうるせぇぞお前等!!とにかくそれぞれの持ち場に「あ、ニュースクーだ」聞きやがれーッ!!」


両腕を大きく広げて皆を見下ろす俺を放置して、呑気に窓の外を眺めるクルー。


「こんな夜に来るなんて珍しいな。ってか何かあのニュースクー、様子変じゃね?泣いてるぞ?」


顔面青あざ出来てっけど、大丈夫か?新聞売れてねんだろ、誰か買ってやれよ。なんてノンビリのほほんな野郎共に、流石の俺も堪忍袋の緒がプッチン切れたぞ?!


「オイッ、今は俺の話を聞「やべぇ、俺今金持ってねーわ」ぬがーッ!!張っ倒すぞテメェ等?!」


もーッなんなのコイツ等?!もしかして敵?!皆俺のご臨終を望んでんの?!ふざけんな全員運命共同体だコノヤロー!!


「お前等ッ!!ペンギンが戻って来るまでに猫見つけねぇと…現実世界で悪夢を見る事になるぞ!!」


俺がな!!ってのは黙っとくけど。でも全員で探すとなりゃもう、連帯責任だ!!俺だけ怒られんのとか絶対やだもん!!


「分かったら今す「オイ持ち場の確認してくぞテメェ等!!」え?ちょ…」


「「「オーッ!!」」」


「あの…それ俺が「テメェ等は浴場行け!!」あ、うん…よろしく」


あぁ、やっぱ…困った時は“ペンギンさん”だな。


今まで、誰か金持ってねぇよかよー。なんてニュースクーに向いてた関心が、一気に猫に戻っちまうんだからよ…


はぁ…でも何で俺こんな隅っこで靴履き直してんだろ…


「良いか皆?!持ち場以外は出るな!!その変わり、自分の持ち場は蟻一匹逃すなよ?!あぁ?!新聞なんざ読まなくても死なねぇよ放っとけ!!」


って…いつの間にかクルーに俺の立ち位置奪われたとか、本当全く気にしてねぇよ。元々俺そんなキャラじゃねぇし…ちょっと悔しいとか、そんな全然…


「猫の姿確認してんのはお前だけだ。お前はベポと全通路頼むぞ!!」


頼むぞって…全通路…はは、あの広い通路全部ね…俺って何処行ってもこんなんなの?
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