BOOK5

□No.26
1ページ/2ページ



「ベポオォォォォッ!!お前ッ、なんって事してくれたんじゃー!!」


俺の、俺の最後のライフライン!!こんな見るも無惨な姿になり果てたのはやっぱあの時か!!あの時の、パリンッ…の正体はコレか!!


「本当すいません…」


「すいません…で済むなら俺は海底に沈まねぇよ!!」


どうしてくれるんだー!!って泣きながらベポをガクガク揺さぶりまくってたらコイツが、なななんで沈められるの?なんて俺の心の地雷を容赦なくドカ踏みしてくるから…俺撃沈。


「ははは…そうだよな…元はと言えば俺が錨降ろしてなかったのが悪いんだよなそうだよな知ってるよ。はは、ははは…」


「いや俺があんな豪快に転んじゃったから…本当デカくて熊で邪魔ですいません」


はははこの野郎…俺より派手に落ち込みやがって何なんだよ。絶対俺の方が、おんっもぉぉぉい罰が待ってんだからな!!ってかリアル打ち首…?…んで捨てられる?!


うわぁ俺の人生ももう終盤か…ははは、もっと良い思いしたかったなぁ…


旨いモン食って、朗らか天気の中思う存分爆睡して、綺麗な姉ちゃん共はべらかし…それは別に良いや。最期は綺麗な姉ちゃん共より、気の知れたミラーと遊んでる方が楽しい。


「はぁ…今の内に、隠してた饅頭食っちまお。あぁ、そういえばよ?」


俺の傍らで変わらず、ズーンッ…ってなってるベポに向き直り、俺は投げやりに声を掛けた。もう俺が助かる道は閉ざされたんだし、こうなりゃ自棄だ。


「お前ブッ転けた時、何か言いかけてたろ?アレなんだったんだ?」


どうせバラされんなら、スッキリしときたいじゃん?そう思って投げ掛けた疑問にベポは、ハッ!!って沈んだ顔を持ち上げてアタフタアタフタ…なんだ早く言えよ。


「そうだった!!ペンギンも俺の話聞いてくれなかったんだよ?!酷いよねッ」


あのね聞いてよ!!って、そんな無駄に長い前置きは右から左に受け流してたんだけど…滞りなく俺の耳穴を通り過ぎてた言葉は、次の単語で、ピシャーンッ!!と止まってそっからもう大渋滞!!


「ち、ちょい待て!!なに?!何の匂いって?!」


だからね!!って両腕上下にブンブンしながら興奮するベポが、再度発したさっきと同じ台詞に、俺の興奮メーターもギュイーンッ!!


「ベポ!!それ勘違いとかだったら、お前も道連れだかんな!!」


え、なんの?!なんて俺の果てを分かってねぇコイツは放置して、俺は一目散に走り出した。


まずは船長の所行って、訳話して俺バラすのもうちょい待ってもらわなきゃ!!…ってか既にバラされんの前提な俺ってどーなの?!


いやでもそんな事より今はさ!!


(なんかねッ、さっきからずっと牙の匂いがするんだ!!え?!違うミラーのじゃないよ!!…そう“アイツ”の!!もしかしたらさっきのニュースクー、何か持って来たんじゃない?)


もし兄貴関係の何かが有るなら、ソレ確認せずにお魚さんと仲良くする訳にゃいかねーだろ!!また手紙とかか?!うわ楽しみ!!


兄貴からのメッセージ聞くまで処分は待ってー!!って勢い良く突っ込んだ船長室前の通路は、何故か重〜い空気が蔓延してて…あれ、もしかして俺、タイミング悪い感じ?


「チッ…面倒くせぇ」


うーわ船長機嫌わるッ?!舌打ちの威力がいつもの3割増!!そんでドス黒くって重い空気は4割増!!


やっぱ俺の考え甘かったッスか?!今すぐバラバラの刑ですか?!わおペンギンさんもいらっしゃる!!バラバラに加えて海底ですか!!


ってかこの空気は俺のせいですか?!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ