BOOK5

□No.27
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『はいまずシャチ!!』


ドンッ!!と仁王立ちする私の傍らで、ビクッと肩を震わせたシャチに視線を送る。


『アンタの疑問は私の疑問!!今だけはね!!だからとりあえずは大人しく、隅っこで子犬みたいに縮こまってて!!』


邪魔!!そう一蹴して、今度は私の剣幕に呆然とするペンギンさんとローに目をやった。


『とりあえず、ニャンコもジギーも捨てちゃ駄目!!ニャンコはちゃんと帰してあげるの!!ジギーには後でゆっくり尋問タイムあげるから、ね?!』


分かってくれますか?!そう丁寧に声を荒げれば、仕方無い…ってな感じで降参ポーズを見せるペンギンさんを余所に、相変わらずプンスカ不機嫌なロー。


「ププッ怒られてやーんの。ザマァ『テメェが一番怒られんだよバカヤロー!!』え?俺?」


なんで?ってキョトンとするジギー…あぁ殴りたい!!


前もそうだったけど…普通離れ離れの兄妹が再会するって時は、涙の1つや2つは有っても良い場面なんじゃないの?!本当何なのさコイツ!!


『あ"ーッもう!!何でジギーが此処に居るの!!急に現れてさも、当然です。みたいな顔されちゃあ文句の一つも言いたくなるでしょ?!本当常識無さ過ぎ!!しかも会って早々、喧嘩売らないでよ!!』


寝起きのせいか目が半開きの、何とも間抜け面を晒してボーッと私を見詰めるジギーに向かって、分かった?!と再度強く怒鳴りつける。


「………」


私の怒りを真正面から受けて、多少悪いと自覚したのか…ジギーは私を捉えていた視線を下ろして額をポリポリ。


少しキツかったかな…?でも、コイツには少し反省してもらわないとね。


「ミラー…」


相変わらず顔を俯かせたままのジギーが、そんな弱々しい声を寄越す。うん…予想以上に応えちゃってるかも。ちょっと罪悪感…


『ジギー…ちょっと言い過ぎちゃ「ソレ、駄目。没収」ってちょ?!』


流石にアレは強く怒り過ぎたかな。って思った私の謝罪に被せて放たれた言葉…それと同時に腕が伸びて来たかと思えば、私の胸元に収まってた虎毛を、グイッ!!って奪い取るジギー。


「コイツ、野郎だろ。流石にそんなキツく抱き締めんのは無し」


「フニャッ?!ニャー!!」


ミラーの胸はお前のもんじゃねぇんだぞ?分かったか?なんて必死に抵抗してる虎毛を無理矢理撫で回すこのシスコン兄貴に、沸々と湧き上がる殺意…


『ロー…アレ貸して…』


にしてもお前、綺麗な虎っ子だなぁ。そう相変わらずデレデレのクソ野郎から視線を外し、私の背後で眉間に皺を寄せ額に手をやっていたローに、自身の腕を差し出した。


「フワァ〜…ねみぃ…だいたいなぁミラー。俺が此処に来たのはよぉって、お前目が据わってるぞ?」


お前も眠いのか?ってアクビ混じりのだらしない声を放つジギーを余所に、私はローから受け取った腕輪を手首に装着して肩を回す。


「まぁ〜とりあえずは落ち着いたッポイし?まずはひと眠りしてから、ゆっくり話し『テメェは一旦黙れぇぇぇぇ!!』うごばッ!!」


力の限り振りかざした私の拳は、ジギーの左頬にクリーンヒット。


ゴキッ!!って尋常じゃない音がしたけど、もうこの男に遠慮は無用!!少し寝てやがれクソ野郎!!



感動の…とはいかない



(うわぁぁ兄貴ぃ?!ちょ、ミラー兄貴めり込んでるって!!)

(知るか!!私も右手が痛いわ!!頭も痛い!!)

(……自業自得だな。船長、どうします?)

(他の奴に見つかると面倒だ…ひとまずどっかに放り込ん(キャプテン大変たいへー…え?)…はぁ)

(う…うわぁぁぁぁぁぁぁッ?!!!!!)

(うるさいよベポ!!ちょっと黙ってて!!)

(すいません!!)

(((……………タドタドタッ!!)))

(……最悪ですね)

(………)

(今の叫び声なんッ……?!)

(((えーーーーッ?!)))

(うるせぇって言ってんだろうが!!少しは静かにしてよ!!)
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