BOOK5

□No.28
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「お前がちょっとモフッてすりゃあ、多分起きるって!!なッ、ここは一肌脱いでくれよ!!」


「やだやだ絶対嫌!!起こさなくて良いってば!!」


必死の抵抗も虚しく…ズルズル引きずられて行くその巨体に冷ややかな視線を送る。


そういや、ベポの用件は何だったんだ?大変だと言ってたが…そう先程の様子が頭を過ぎるも、この最悪な状況下では、最早他の事などどうでも良くなってきた。


「いやマジ兄貴全然目覚めねんだけど?!ヤバくね?!」


『え?!私そんなに強く殴っ…たけどさ!!でも死ぬ程じゃないよ?!』


「「「殴った?!」」」


うるせぇなアイツ等…これ以上俺をイラつかせるな。


「……れない」


海楼石の存在をまだ知らねぇ奴等が、ミラーの言葉に一段と声を上げ、騒然となったこの場に俺が悪態つく中…ペンギンが弱々しく何かを呟いたが、喧騒に紛れソレは聞き取れなかった。


「なんだ」


聞こえねぇよ。ペンギンの背後で騒ぎ立てているクルーに呆れながらも、ため息混じりに再度話を促せば、奴は腹を括ったかの様な…覚悟に満ちた顔を上げ、強く結んだその唇をゆっくりと解き…


「もう、あの島には戻れない」


そう、告げてきた。


その言葉を頭で理解しようとすればする程、嘘のようにあの喧騒が遠退いていく。


「島は見失った…エターナルポースも、無い…この船は今、漂流状態です」


……………は?


額に薄ら脂汗を滲ませ、歯切れ悪くペンギンはそんな言葉を寄越す中…俺は馬鹿みてぇに固まっていた。


島に戻れねぇだと?ふざけんなよ…あの野郎が餌も無く黙って船を降りる訳ねぇ。しかも今はあのクソ猫も居やがるんだ…降りる訳ねぇ。


だったら何だ、また次の島まで乗せろなんざ言うんじゃねぇだろうな?勘弁しろよ…


あの野郎が居たんじゃ、騒がしくて頭がおかしくなっちまう。


だいたい…一日なら我慢もしてやるさ。だがあと何日ミラーとヤれねぇ日が続く?最長半月か?


いや待て…もしかすると奴は、居座るつもりではなく…?!


「チッ!!」


ふざけんなッ。今あの野郎さえ居なけりゃ…


「…………」


そうか、あの野郎が居なけりゃ良いんだよな…なんだ簡単じゃねぇか。


「…フッ、今の内に海にでも捨てるぞ」


冷めた笑みと共に吐き出したその言葉は、冗談なんかじゃねぇ。



至って本気



(せ、船長…目が笑ってないぞ?)

(ミラーは部屋にでも押し込んどけ。俺が捨ててきてやる)

(まッ船長?!早まる(ドゴーンッ!!)ッ?!)

(うわ何だ?!敵襲か?!)

(ッ!!忘れてた!!キャプテン海賊船ッ、さっき遠くに見えてたの!!)

(((早く言えよ!!)))

(すいません…)

(お前等でどうにかしろ。俺はコイツを海に捨(本気は不味いですって船長!!おいミラーはジロンギーを物置部屋にでも運んでくれ!!船長俺等も一旦外に行きましょう!!)ッ、離しやがれ!!)



(………皆行っちゃった。私だけ留守番?)

(…ニャーン)

(しかもローの奴…目に精気が宿って無かったけど…どうしたんだ?)
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