BOOK5

□No.34
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本っ当最悪だ!!


確か、衣装部屋に大量の布団と毛布が置いてあった筈…それを一つ残らず皆の部屋に運んどけって事でしょ?!一体何往復すりゃ良いのさ…


「ぶふぉ?!は、はい…はいり、ましたぁ…」


突き付けられた現実に遠い目を向けていると突然、ドフッ!!って響いた鈍い音…それに続いて、グヘェ…なんて滅茶苦茶苦しそうな呻き声が届いた。


なんだ?と、条件反射に向けた視線の先には…


「いつまでも寝てんじゃねぇ」


仕事だ。って足元でお腹を抱えうずくまるシャチに、不機嫌オーラMAXで冷たい視線と言葉を突き刺すペンギンさん…見なきゃ良かった。


『はぁ…相当疲れそうだなー…』


とりあえず、爆睡中のヨダレとはまた違った意味で、甲板にヨダレ溜まりを作るシャチの存在は今…視界からだけじゃなく、頭からも消そう。


『あ、その前に虎毛の様子見てこなきゃ』


寂しがってるだろうなぁ。って…自分だけのオンリーワールドを保ってたのに…その世界は、そう言えばミラー。なんて声を掛けてきたペンギンさんの介入によって消滅。


「船長に、ジロンギーを追い出せとでも言われてたのか?」


どこか諦めたような疲れた笑顔で、無理難題押し付けられたな。そう私の頭を撫でるペンギンさんは次いで、大きなため息を漏らした。


でも良かった…不機嫌さを感じさせないペンギンさんの手は、相変わらず私の心をくすぐったくさせる。


『ふふ、ローは2日以上ジギーを置く気は無いってムクれてましたよ。説得役を任されてたんですけど…』


今の私には出来ないですね。そう苦笑いを向ける私にペンギンさんは困ったように眉を寄せた。


「…ミラーがまだアイツと一緒に居たいなら…俺が船長を説得しよう」


『えッ?』


だからミラーはシャチと頑張ってこい。そう優しく笑って私の頭をひと撫でし歩き出したペンギンさんは、チョッピリ調子が悪いのかもしれない。それとも私が…?


「うぐぅ…まだ腹いてぇ…ミラー仕事ってなにぃ?」


やっとの事起き上がり、ボケェっといつまでもペンギンさんが消えて行った扉を眺める私の肩にもたれ掛かるシャチは、全然返事を寄越さない私に怪訝な顔を向けてきた。


『シャチ…私の頭に、エスパーブロックフィルターが出来たかもしれない』


小さく漏らした私の呟きに、はぁ?ってより一層顔をしかめるシャチ。


だって私…今ジギーに長居なんて、してほしくないんだもん。


(ローお願い!!バラさずして一刻も早くアイツを此処から追い出して!!)
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