BOOK5

□No.39
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ジギーがこの船に居座ると分かったあの時から、私の心の休息地が行方不明状態。


『ぬごッ?!』


そして今日も…ジギーを避けながら、ソッコーで無事何事もなく朝食を済ませたまでは良かった。


“バタンッ”


でもホッとひと息付く間もなく、グイッと腕を引っ張られて、抵抗する暇も無く押し込まれた先にはこの暗がり…


こんな事する人物はもう、分かってる。


『ま、待ってロー!!』


そして…コイツが何をしようとしてるのかも。


「うるせぇあんまデケェ声出すな」


来ちまうぞ。なんて、心なしか弾んだ声でそう囁きながら、耳元に生暖かい舌を這わせてくるローは…書棚と自分の間に私を挟み込んで決して逃がさない。


『ま…不味いよ…んッ…!!ジギーが…』


薄暗い書物庫は嫌に静かで、ローの口元から漏れる、私の肌をついばむ音から…いやに色っぽい吐息まで、何もかもが普段以上にこの鼓膜を甘く震わせる。


「チッ…面倒くせぇな」


脱がし難い。そんな悪態をつきながらも、ローはネチッこく私と唇を合わせながら、器用にこの身体を厚く纏うツナギや、その下のパーカーを剥ぎ取っていった。


『誰か…ジギーも、来ちゃ…』


弱々しく抵抗を示すも、そんなのこの男には何の効力もない。


「フフッ…お前がデケェ声でも出さねぇ限り、バレねぇよ」


アイツは今頃食堂で食器と戦ってる頃だ。なんてローは楽しそうに笑ってるけど…その食堂と、今私達が居るこの書物庫は…本当に目と鼻の先。


『本当…も、むり…』


はだけた私の胸元に顔を埋めるローの頭をガッチリ抱え込むのは、別に…もっと!!なんて、おねだりの為じゃない…


『くふぅッ…!!』


もう、立ってられない。


「支えといてやるから、お前は声だけ抑えてろ」


そんな私に、ニヤリと妖しい笑みを向けるローは“お仕置き”と称したこの行為を、心の底から楽しんでやがる。


「どうしても我慢出来ねぇなら…此処、噛んどけ」


そう言ってローは私を抱え上げ、一気に中へと侵入してきた。


『ーッ…!!』


こうして隠れて繋がっている間、ローは普段…ベッドではくれる筈のキスを、決してくれない。


その口で私の口を塞ぐ事は許さないとでも言うように、寸での所で引き離す…とても楽しそうに歪めたその唇を。


『はぐッ…!!』


ギュッとローの頭を抱きかかえ、その筋肉質な肩で口を塞げば…その向こう側にある私の腕で、あの腕輪が僅かに差し込む光を受けて、キラリと妖しく揺れていた。


──────ーーーー


「確かに噛めとは言ったが…お前食いちぎる気かよ」


加減を知れ。なんてため息を吐くローに背中を向けながら、乱れた衣服を整える私は…本当、羞恥心で激しく燃え上がりそうだぜコノヤロー。


『…いつまでこんな事すんのさ』


涙目でそう頬を膨らませるも、ローは知らんぷり。


「お前だって嫌いじゃねんだろ?普段より濡れ『どぅわぁぁストップ!!』…うるせぇよ」


ううーッ…こんな事なら素直にジギーの味方してれば良かった!!


だいたい何でローがゾロの話を知ってんのさ…


(勝手に触らせてんじゃねぇよ)


はぁ…このままじゃ身体がもたない。なんてトホホ状態で手を伸ばした相棒は、いやにすこぶるご機嫌で、何だか無性にイライライラ。


「そろそろ雪も降り出す頃だ。お前はもう少し厚着しておけよ」


うるさいどーせ脱がすくせに!!
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