BOOK2
□No.42
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只今、ペンギンさんの快気祝い!!って事で開かれた宴の真っ最中。
でも今回私は…
『酒は控える!!』
「え〜マジかよミラーッ」
「まぁ〜気持ちは分かるけどよー」
なんて…本当は疼く心を自制。
そんな私は、例の如く甲板の中央で始まった飲み比べを、甲板の隅っこでペンギンさんと共にチビチビやりながら眺めてた。
そう、主役を差し置きバカ騒ぎしている集団を、その主役と一緒に…皆この宴の意味、本当に分かってんのかな。
『あ、そういえば何でペンギンさん、あの時海軍の船内に居たんですか?』
そう尋ねながら私が口に運ぶのは、他のクルーが飲んでる物より少しだけ良いお酒。
私も酒には、ちょーっとうるさいんだよね…本当ちょっとだけね!!
「情報収集さ。こんな海を航るには、一番大切な事だからな」
ははッ。と笑いながら、ペンギンさんが私のより断然格上の酒を飲み干す。あそこまで良い酒は私にはまだ早いな…
『何か欲しい情報でもあったんですか?見つかりました?』
「あぁ…想像以上の収穫だったよ」
意味深に目元を細めながら告げられたその答えに、ペンギンさんが言う“収穫内容”が少し気になったけど…
「ふふ…」
きっとペンギンさん…この顔からして、ソレを話す気は無いな。そう感じ取った私は、早々その答えを諦めた。
だから、そうなんですかー。と、それらしい相槌を打ちつつ料理へと手を伸ばす。うぉ!!この肉旨ぇ!!
そんな中、そういえばミラー。なんて掛けられた声…
『ふぇい?』
反射的に隣へ顔を向けた私の口には、イーッパイ料理が詰め込まれたまま。
「ふふ、喉に詰まらせるなよ」
『モグモグモグッ』
…そんなに笑わないで下さいよ。
「なぁミラー」
モグモグモグ…なんですかい?
「初対面の頃は…もっと砕けた喋り方だった気がするが?」
『ゲブッ!?』
その言葉に私の口から勢い良く飛び出る数本のパスタ…鼻から出なくて良かった、本当良かった!!
苦笑いで手拭いを渡してくれたペンギンさんには言えない…こんな優しいペンギンさんのデスマスクが原因でこうなったとは…絶対言えない!!
『いやッ、ほら!!ぺぺ、ペンギンさんって落ち着いてて大人って感じだからかなぁ?!つ、つい!!』
んーッ、我ながら苦しい言い訳…声が裏返ってるのはパスタが眉間辺りに居るからって事にしよう。
うん…苦しいな。
「ふふ、そうか。まぁ、お前が無理をして無いなら俺は構わない」
そう言ってペンギンさんは、脂汗を滲ませる私の頭を優しくポンポン撫でてくれた。
あぁ、困ってる私に突っ込まないでくれるこの紳士ぶり…優し過ぎだよペンギンさん!!
でも、ペンギンさんに頭を撫でられたら…ローの時とは違う感覚に陥るから不思議だ。
ペンギンさんから頭を撫でられると、嬉しいって言うか何て言うか…誉められた時みたいな感覚?
でもローに撫でられたら、落ち着くって言うか…安心?するのかな。
乱暴にワシャワシャするシャチは論外だな。まぁ、アレはアレで嫌いじゃないけどね!!