BOOK2
□No.45
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あれからペンギンさんも、本当の本当に無事完全復活を遂げ、今は皆で昼食を食べた後のベポとのお昼寝タイム。
ペンギンさんが寝込んだのは私が念を送ったからだ!!本っ気で自分は魔女なんだ…!!なーんて、結構マジに悩んだのに…結局あれはシャチが宴でやらかしたかららしい。
クソヤロー。と、シャチに念を送ってみたけど…あいつピンピンしてるから、本当に原因は奴の様だ。ふぅ…良かったぁ。
『ふい〜ッ』
久しぶりに雲一つ無い本物の快晴で、穏やかに揺れる波音と、干したての布団よりフカフカのベポを背に、空を仰ぎながら伸びを一つ。
「ミラーーーッ!!」
本当に良い天気…満たされてるよなぁ…ってウトウトしていた所に響く馬鹿デカイ声。
それと同時に、スッゲー勢いでシャチが、食堂でウノやろうぜッ!!なんて突っ込んできた。
『はぁー?こんな日に日向ぼっこしない馬鹿は居ないでしょ』
半分夢の中だったのにコノヤロー。
でもそんな私の言葉を無視して、良いから行くんだよ!!って何やら必死の形相で私の手を引っ張るシャチ。
『うぎゃ、ちょ!?』
何なにナニ、何で?!意味わかんないッ。
「ホラ早く立てよ!!」
なかなか動かない私に、グイグイ身体を弓なりに反らすシャチもその苛立ちを隠せない様子。
互いに引かずピーピーギャーギャー騒いでいると、今度はペンギンさんがやって来て…
「アデッ!!なんでぇ?!」
とりあえずシャチの頭を、ボカン!!と無言で殴ってた。
良かった、まだデスマスクじゃ無い…けど何か、ピリピリしてる?
「ミラーすまない、今から潜行する。船内に入ってくれ」
『…え?』
ペンギンさんまで何言ってんの…?
今まで潜行するのは、海上が荒れまくってる時とか、軍艦が見えた時ぐらいだった筈…
『…………』
訝しげにキョロキョロ、この静かで穏やかな水面を見渡すが…視界に入る軍艦の姿は無い。
後方か?そうも思い、私が甲板の端に向かおうとすれば…
「ミラー、船内へ戻ってくれ」
あからさまにペンギンさんから、その行く手を遮られた。
『…何があるんですか?』
ただならぬ雰囲気に眉を寄せる私。
「ミラー…手荒な真似はしたく無い」
船内に戻ってくれ。って…ここまでして隠したい事って何?私に見られちゃ不味いもんだろ?!
…いや全然分かんないッ!!
尚も言うことを聞かない私に痺れを切らしたペンギンさんが、この腕目掛け、スッと手を伸ばしてきた為…否応なしに身構える私。
「ミラー」
すると今度は遠くから、私の名を呼ぶ少し力のこもった強い声。
『…ロー、どう言うこと?全然納得出来ない』
その人物に疑問を投げ掛けるも、結局説明は無いままローは険しい顔を崩さず、静かに私へ近づいてくる。
私も負けじと、その皺を刻んだ眉間辺りを睨み返してやった。
そして私の目の前でピタッと足を止めるロー。
「………」
その口は未だ開かれない。
「………」
『………』
暫く互いに向かい合い、どちらも言葉を発する事無く、時間だけが過ぎた。